リフォームの相見積もりは、2〜3社が現実的です。
どのくらい頼めばよいか迷うなら、私は3社でよいと思います。
一社だけでは、その金額や提案が自分たちに合っているのか判断しにくい。一方で、4社、5社と増やせば、現地調査へ立ち会い、それぞれの説明を聞き、見積書を比べるだけでも大変になります。
リフォームの相見積もりは、同じ商品を一番安く買える会社を探すだけのものではありません。
同じ困りごとを伝えても、会社によって考える工事は変わります。
キッチンを新しくする会社。
収納や動線まで見直す会社。
今の間取りを生かす会社。
壁を動かし、暮らし方から変える会社。
その違いを知り、自分たちがどの提案に納得できるのかを確かめることも、相見積もりの大切な役割です。
今日は、何社へ相談すればよいのか、何を揃えて伝え、どこを比べればよいのか。現役のリフォーム営業として考えていることをお話しします。
相見積もりは、2〜3社が現実的
相見積もりに、すべての人へ当てはまる正解はありません。
工事の規模や相談できる時間によって、ちょうどよい社数は変わります。
トイレや給湯器など、設備を一つ交換する工事なら、2社を比べれば価格や対応の違いは見えやすくなります。
キッチンや浴室をまとめて直す場合や、間取り変更を伴う大きなリフォームなら、3社ほど相談すると提案の違いまで比較できます。
4社以上へ相談することが間違いではありません。
ただ、会社ごとに現地調査を行い、希望を説明し、提案と見積書を受け取るには時間がかかります。打ち合わせを重ねるうちに、どの会社へ何を伝えたのか分からなくなることもあります。
選択肢が増えれば、必ず選びやすくなるわけではありません。
候補を探す段階で、自分の工事を得意としていそうな会社へ絞り、そのなかから2〜3社へ相談する。これが、無理なく違いを見られる社数だと思います。
まだ相談先を絞れていない場合は、003|リフォーム会社って何が違う?|自分に合う会社の選び方から確認してみてください。
相見積もりをしなくてもよい場合もある
リフォームをするなら、必ず相見積もりを取らなければならないわけではありません。
給湯器が壊れ、できるだけ早く交換したい。
以前から家を見てもらっている会社があり、対応にも納得している。
小さな修理で、複数の会社へ現地調査を頼むほどではない。
このような場合は、一社へ相談して進めることもあります。
相見積もりには、会社の違いを知り、納得して選べる利点があります。一方で、現地調査や打ち合わせには時間がかかり、会社側も見積書や提案を作るために動きます。
何となく不安だから数を増やすのではなく、
「一社だけでは判断できないことがあるか。」
「ほかの方法や金額も知りたいか。」
と考えてみるとよいでしょう。
すでに信頼できる相談先があり、提案や費用にも納得できているなら、相見積もりを取らない選択も間違いではありません。
相見積もりであることは、最初に伝えて大丈夫
ほかの会社にも相談していることを伝えると、失礼に思われないか心配する方がいます。
しかし、
「ほかに2社へ相談しています。」
「3社の提案を見てから決める予定です。」
と最初に伝えても問題ありません。
営業としても、相見積もりだと分かっていれば、提案を出す時期や、その後の連絡を考えやすくなります。
反対に、一社へ決めたような話で打ち合わせが進み、最後になって相見積もりだと分かると、お互いに認識がずれることがあります。
相見積もりを隠す必要も、他社を引き合いに出して価格を競わせる必要もありません。
複数の会社へ相談し、それぞれの提案を見て決める。
その予定を、そのまま伝えれば十分です。
会社の反応を見るための駆け引きではなく、選び方の前提を共有しておく。そう考えると、伝えやすくなると思います。
各社へ、同じ困りごとと希望を伝える
相見積もりで会社の違いを見たいなら、最初に伝える内容はできるだけ揃えておきましょう。
たとえば、一社には、
「キッチンが狭く、収納が足りない。」
と伝え、別の会社には、
「対面キッチンへ変更したい。」
とだけ伝えた場合、出てくる提案や工事範囲は大きく変わります。
これでは、会社の違いなのか、伝えた内容の違いなのか分かりません。
各社へ伝えておきたいのは、次のような内容です。
- 今の住まいで困っていること
- 今回、必ず行いたい工事
- 予算に余裕があれば行いたいこと
- 希望する予算の範囲
- 工事を終えたい時期
- 家族で意見が分かれていること
商品や間取りまで、すべて同じように指定する必要はありません。
揃えるのは、設備の型番や完成方法ではなく、自分たちが困っていることと、リフォームで大切にしたい条件です。
同じ困りごとを受けて、各社がどのような方法を考えるのか。
そこに、相見積もりで見たい提案の違いが表れます。
提案の違いは、相見積もりの大きな価値
相見積もりという言葉から、金額を並べて比べる場面を想像する方は多いと思います。
しかし、実際には、会社によって提案の出発点から違うことがあります。
収納を増やしたいという希望に対して、新しい収納家具を提案する会社もあれば、既存収納の配置を変える会社もあります。間取りそのものを見直し、収納量ではなく動線から解決しようとする会社もあるでしょう。
どれが正しいという話ではありません。
費用を抑え、必要な場所だけを直す提案が合う家もあります。工事範囲を広げても、長く続いていた不便をまとめて解決する提案が合う家もあります。
相見積もりを取ると、
「そこまで変えるつもりはなかった。」
と思う提案が出てくることもあれば、
「そんな方法があるとは考えていなかった。」
と思うこともあります。
価格を競わせるだけでは、こうした違いは見えません。
相見積もりは、複数のプロが自分の家をどのように見るのかを知る機会でもあります。
そのなかから、金額だけでなく、
「この考え方なら、今の困りごとを解決できそうだ。」
と思える提案を探してみてください。
金額ではなく、工事範囲と内容を比べる
相見積もりで最も注意したいのが、見積書の総額だけを並べてしまうことです。
同じ「フローリングの張り替え」でも、工事内容は同じとは限りません。
一社は、既存の床を撤去し、下地を確認してから新しい床を張る。
もう一社は、既存の床の上へ新しい床を重ねて張る。
完成後はどちらも新しい床に見えますが、必要な工期や費用、床の高さ、下地への対応は変わります。
キッチンの見積もりでも、
- 既存設備の撤去と処分
- 配管や電気工事
- 壁や床の補修
- キッチンパネルの範囲
- 商品のメーカーや品番
- 食洗機やレンジフードの仕様
- 養生や清掃
- 諸経費
- 工事後の保証
など、含まれている内容が違うことがあります。
300万円と350万円の見積もりがあったとしても、50万円の差だけでは、高いか安いかを判断できません。
350万円の見積もりには必要な内装工事や処分費まで含まれ、300万円の見積もりでは別途になっているかもしれないからです。
比べるときは、
「どこまで工事するのか。」
「その金額に、何が含まれているのか。」
「含まれていない工事は何か。」
を確認してください。
相見積もりで比べるのは、金額ではなく、その金額で行われる工事の範囲と内容です。
分からない項目があれば、同じ名前の工事に見えても内容が違う可能性があります。それぞれの会社へ、遠慮せず説明を求めて構いません。
見積書を受け取ったあとに確認したい項目は、005|リフォームの見積書、どこを見ればいい?で詳しくお話しします。
他社の見積書や図面は、そのまま渡さない
相見積もりを進めていると、
「他社の見積書を見せたほうが、同じ条件で作ってもらえるのでは。」
「この図面を使って、もう少し安くできるか聞いてみよう。」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、私は基本的に、ある会社が作った見積書や図面を、了承なく別の会社へ渡すことはおすすめしていません。
見積書や図面は、単なる比較資料ではないからです。
担当者が現地へ足を運び、寸法を測り、家の状態を確認する。家族の希望を聞き、社内や職人と相談しながら、どのような工事が必要かを考える。間取りや設備を検討し、数量や工事費を積み上げて、ようやく一つの資料になります。
見積もりが無料であっても、作るための労力や費用までかかっていないわけではありません。
図面には、その会社が考えた間取りや納まりがあります。見積書にも、工事の組み立て方や、これまでの経験から必要だと判断した内容が表れています。
そうして作られた資料を別の会社へ渡し、
「この内容でもう少し安くしてください。」
と頼むことは、提案を考えた会社に対して、あまり丁寧なやり方ではないと私は思います。
後から資料を受け取った会社も、自分たちで調査や提案を行わず、他社が考えた内容をもとに価格だけを調整できてしまいます。それでは、各社がどのような方法を考えるのかを見るという、相見積もりの意味も薄くなります。
金額や工事内容に大きな差があり、理由を知りたい場合も、資料そのものを渡す必要はありません。
「別の会社では、床の補修まで含まれていました。」
「同じ設備のようですが、金額に差があるのはなぜですか。」
と、自分の言葉で確認すれば十分です。
もちろん、資料を作った会社の了承を得ている場合や、施主自身が用意した共通資料を各社へ渡す場合は別です。
ただ、会社が時間を使って作った提案は、その会社から自分たちへ出されたものとして扱う。他社の価格交渉や見積もり作成には、そのまま使わない。
相見積もりを気持ちよく進めるうえで、そのくらいの配慮はあったほうがよいと思います。
見積もり作成に費用がかかることもある
リフォームの現地調査や見積もりは、無料で行う会社が多くあります。
ただし、すべての提案が無料とは限りません。
間取り変更を伴うリノベーションや、複数のプラン、詳細な図面、構造の検討などが必要になる場合は、設計料やプラン作成費がかかることがあります。
無料だと思って相談を進め、あとから費用が発生すると、お互いに困ります。
問い合わせや現地調査の前に、
「見積もりまでは無料ですか。」
「プランや図面の作成に費用はかかりますか。」
「契約しなかった場合も、支払いは必要ですか。」
と確認しておきましょう。
費用がかかること自体が悪いわけではありません。
時間をかけた調査や設計を、有料の仕事として扱っている会社もあります。
大切なのは、どこまでが無料で、どこから費用が発生するのかを、始める前に分かっていることです。
知人の会社ほど、仕事として話せるか
親族がリフォーム会社で働いている。
親の友人が工務店を経営している。
学生時代の友人が住宅関係の仕事をしている。
このようなつながりから、リフォームの相談先を決めることもあります。
知らない会社へ連絡するより安心できますし、以前から知っている相手なら、最初の相談もしやすいと思います。知人へ頼むこと自体が悪いわけではありません。
ただ、知っている相手だからこその難しさもあります。
リフォームでは、工事範囲や金額、追加費用、完成時期など、曖昧にしてはいけないことを確認しなければなりません。
工事が始まってからも、
「これは、見積もりに含まれていますか。」
「説明を受けた内容と違うように思います。」
「この部分は、直してもらえますか。」
と伝える場面があります。
知らない会社なら仕事として聞けることでも、知人が相手になると、
「細かいことを言うと、関係が悪くならないかな。」
「紹介してくれた人の顔をつぶさないかな。」
「少しくらいなら、我慢したほうがいいかな。」
と考えてしまうことがあります。
会社側も同じです。
知り合いだからと説明を簡単に済ませたり、正式な書類を作る前に工事を進めたりすると、お互いの認識がずれたときに話しにくくなります。
「知っているから、言わなくても分かる。」
という関係が、工事ではかえって難しさになることもあります。
知人の会社へ頼むなら、普段の付き合いとは少し切り離し、仕事として話せることが大切です。
工事内容は書面で確認する。
金額や支払い条件を曖昧にしない。
追加や変更があれば、その都度費用を確認する。
気になることがあれば、知人だからと我慢せずに伝える。
そして会社側からも、できることとできないことを遠慮なく説明してもらう。
頼みやすい相手だから選ぶのではなく、知り合いであっても、契約相手として必要な話ができるかを考えてみてください。
「ありがとう」だけでなく、「ここは確認したい」「ここは直してほしい」も言える。そのうえで、相手からも仕事としてきちんと返事をしてもらえる。
知人へリフォームを頼むなら、そのくらいビジネスライクな関係を保てることが、むしろお互いの今後の付き合いを守るのだと思います。
最後は、四つを並べて考える
相見積もりを取ると、それぞれの会社に良いところが見えてきます。
価格が分かりやすい会社。
提案が自分たちの暮らしに合う会社。
質問へ丁寧に答えてくれる担当者。
保証や工事管理の体制が整っている会社。
一つの基準だけで、すべてが決まるとは限りません。
そのため最後は、次の四つを並べて考えてみてください。
- 金額に無理がないか
- 提案が困りごとの解決につながっているか
- 担当者へ疑問や要望を伝えやすいか
- 会社として工事を管理し、完成後も対応できるか
一番安い会社が、自分たちに最も合うとは限りません。高い会社だから、内容も必ず優れているわけではありません。
担当者との相性も大切ですが、感じがよいという理由だけで、工事範囲や保証の確認を省くこともできません。
相見積もりは、一番安い会社を探すためだけのものではありません。
それぞれの提案と工事内容を比べながら、自分たちが納得して任せられる会社を見つけるためのものです。
2〜3社を丁寧に比べ、それぞれの違いを理解したうえで一社を選ぶ。
それができれば、十分に意味のある相見積もりだったと思います。
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相見積もりを取ると、工事名や金額の書き方が会社によって違うことに気づきます。
「一式には、何が含まれているのか。」
「別途工事とは、あとで費用がかかるということなのか。」
「諸経費は、何に使われているのか。」
次は、見積書の内容を一つずつ確認していきます。
次は、005|リフォームの見積書、どこを見ればいい?へ進みます。