住みながらのリフォームを前にすると、
「家にいる間、どこで過ごせばいいのだろう。」
「職人さんがいるなかで、普段どおりにしていてもいいのかな。」
「片付けは、どこまでしておけばいいのだろう。」
と、工事そのものより、工事中の暮らしが気になる方も多いと思います。
自分の家でありながら、知らない人が出入りし、自由に使えない場所ができる。大きな音が出る日もあれば、家具や家電を動かさなければならないこともあります。
工事が始まってから、
「お風呂は、いつまで使えないの?」
「この家具も動かす必要があったの?」
「今日は家にいなければならなかったの?」
と気づくと、ただでさえ慣れない工事期間が、さらに落ち着かないものになります。
ただ、工事前の準備を、すべて自分たちだけで考える必要はありません。
どこを片付けるのか。家具や家電は誰が動かすのか。工事中に何が使えなくなるのか。こうしたことは、工事内容を把握している担当者と一緒に確認できます。
分からないことを自分たちだけで調べ、完璧に準備しようとしなくても大丈夫です。
工事前の準備で一番大切なのは、全部を自分たちだけで頑張ろうとしないことです。
今日は、工事前に何を確認し、家の中をどこまで片付ければよいのか。住みながらリフォームするときの準備についてお話しします。
住みながらできるかは、工事中の暮らしで考える
住みながらリフォームできるかどうかは、工事の規模だけでは決まりません。
大切なのは、工事が毎日の生活へどのくらい影響するかです。
たとえば、使えるトイレがもう一つある家なら、一か所を工事していても生活できます。しかし、トイレが一つしかなく、朝から夕方まで使えないとなれば、その間をどこで過ごすのか考える必要があります。
キッチンも、数日使えないだけなら、外食や持ち帰りで対応できるかもしれません。一方で、小さな子どもや高齢の家族がいる場合、キッチンを使えないことが大きな負担になることもあります。
工事をする部屋以外で普段どおりに過ごせるのか。
トイレや浴室、キッチンは使えるのか。
家族が安心して過ごせる場所を確保できるのか。
こうしたことを確認したうえで、住みながら進めるか、工事期間中だけ別の場所で過ごすかを考えます。
住みながらできる工事かどうかは、工事範囲だけでなく、その間の暮らしまで含めて判断することが大切です。
まず、使えない場所と期間を確認する
工事前に最初に確認したいのは、いつ、どの場所が使えなくなるのかです。
設備の交換では、本体を取り付けた時点ですぐに使えるとは限りません。
浴室なら、解体や配管工事、新しい浴室の組み立て、周囲の壁や床の補修が必要になります。
トイレも、便器の交換だけで済む場合もあれば、床や壁の内装工事を同時に行うことがあります。
キッチンでは、設備を取り外してから新しいキッチンを設置し、給排水や電気、ガスをつなぐまで使用できません。
工事内容や家の状態によって必要な日数は変わるため、
- いつから使えなくなるのか
- いつから使えるようになるのか
- 一日中使えないのか、一時的なものなのか
- 水道や電気が家全体で止まる時間はあるのか
を担当者へ確認しておきましょう。
特にトイレが一つしかない家では、使用できない時間を曖昧にしたまま工事を始めないことが大切です。
工程表に工事名が書かれていても、生活への影響までは分からないことがあります。
「この日は、家で何が使えませんか。」
と聞いて構いません。
その答えが分かれば、食事や入浴、外出の予定も立てやすくなります。
使えない間を、どう過ごすか考えておく
キッチンや浴室が使えないと聞くと、
「工事中の生活は、かなり大変なのでは。」
と心配になるかもしれません。
実際に不便はありますが、使えない期間や時間が分かっていれば、先に準備できます。
キッチンを使えない日は、外食や持ち帰りで済ませる。電子レンジや電気ケトルを使える場所があれば、簡単な食事を用意できることもあります。
浴室を使えない日は、近くの銭湯や入浴施設を利用する。親族の家が近ければ、あらかじめ相談しておく方法もあります。
冷蔵庫は使えるのか。電子レンジを置ける場所はあるのか。洗面台や洗濯機まで使えなくなる時間があるのか。
自分たちの生活に必要なものを一つずつ確認しておきましょう。
いつもの生活とは少し違いますが、ご家族によっては、銭湯へ行ったことや外で食事をしたことも、工事中のちょっとした思い出になるかもしれません。
無理に楽しもうとする必要はありません。ただ、不便な期間がいつまで続くのか分かっているだけでも、気持ちは少し楽になります。
工事中の不便をなくすことは難しくても、分からない不安は、工事前の確認で減らせます。
片付ける範囲は、担当者に聞いてから決める
工事前には、施工する場所にある物を移動します。
ただし、空けておきたいのは工事場所だけではありません。
玄関から工事場所までの通路も、職人や材料が通れるようにしておく必要があります。
キッチンを工事するなら、食器や調理器具、食品、収納の中身を移動する。
壁紙を張り替えるなら、壁際の家具や飾り、時計などを外す。
床を工事するなら、その上にある家具や家電を移動する。
さらに、玄関や廊下に置いている傘立て、靴、収納用品などが搬入の妨げになる場合もあります。
工事によっては、新しい設備や建材を室内へ一時的に置く場所も必要です。
特にマンションでは、廊下やエントランスなどの共用部へ材料を置いたままにできません。室内のどこかを、材料や道具の仮置き場所として使うことがあります。
だからといって、念のために家中を片付ける必要はありません。
「どこを空ければよいですか。」
「材料は、どこへ置く予定ですか。」
と担当者へ確認してから、必要な範囲だけ片付けましょう。
片付けが足りなければ、工事前に担当者が伝えられます。どこまで必要か分からないのに、自分たちだけで家具を動かし続ける必要はありません。
工事場所、そこまでの通路、材料を置く場所。この三つが分かれば、片付ける範囲も見えてきます。
家具や家電を、誰が動かすのか決める
冷蔵庫や洗濯機、大きな食器棚などは、自分たちだけで動かすことが難しいものです。
工事に伴う移動を施工会社が行うこともありますが、すべての会社が無料で対応するとは限りません。
見積書に家具移動費が含まれている場合もあれば、別途費用が必要な場合もあります。大型家具やピアノなどは、専門業者の手配が必要になることもあります。
工事前には、
- 施主が動かす物
- 施工会社が動かす物
- 専門業者へ依頼する物
- 移動に費用がかかる物
- 工事後に元の場所へ戻してもらえる物
を確認しておきましょう。
冷蔵庫を移動する場合は、中身をどこまで減らす必要があるのかも聞いておくと安心です。
洗濯機やエアコンは、移動だけでなく給排水や配管の取り外しが必要です。自分たちの判断で外すと、故障や水漏れにつながることがあります。
カーテンや照明器具、カーテンレールなども、工事内容によっては一時的に取り外します。
誰が外し、どこへ保管し、誰が元へ戻すのか。
小さなことに見えますが、工事前に決めておくと当日の作業が止まりません。
大切な物は、工事場所から離しておく
工事場所には養生を行いますが、ほこりを完全に閉じ込めることは難しいものです。
解体や木材の切断、壁や床の下地を整える作業では、細かなほこりが発生します。人の出入りや扉の開閉によって、工事をしていない場所まで入り込むこともあります。
壊れやすい物、思い出の品、精密機器、ほこりを避けたい衣類などは、工事場所から離しておくと安心です。
移動できない家具や家電がある場合は、自分たちだけで無理に動かさず、担当者へ相談してください。養生をしてその場へ残せることもあれば、工事前に移動が必要なこともあります。
貴重品や現金、重要な書類は、工事場所から離れた自分たちで管理できる場所へ移しておきましょう。
これは職人を疑うということではありません。
工事中は普段より多くの人が出入りし、家の中に置かれる物も増えます。大切な物を先に分けておけば、施主も職人も余計な心配をせずに済みます。
知らない人が家にいると、落ち着かなくて当然
住みながら工事をすると、自分の家に職人がいる時間が続きます。
工事だと分かっていても、
「どこで過ごせばいいのだろう。」
「テレビを見ていてもいいのかな。」
「昼食は、いつもどおり食べていいのかな。」
と気を遣う方もいます。
しかし、工事場所へ入らず、作業の妨げにならなければ、普段どおりに過ごして構いません。
別の部屋でテレビを見たり、食事をしたり、外出したりして大丈夫です。職人がいるからといって、一日中様子を見ている必要もありません。
職人側も、施主が生活しながら工事を進めることを分かったうえで家へ入っています。
気になることがあれば、質問して構いません。ただし、作業中の職人へその都度変更をお願いすると、担当者へ伝わっている内容と食い違う可能性があります。
工事内容や追加の希望に関することは、現場を管理する担当者へ伝えるほうが安心です。
自分の家にいながら落ち着かないと感じるのは、特別なことではありません。必要以上に気を遣わず、生活できる場所では、いつもどおり過ごして大丈夫です。
音の大きい日は、外出する方法もある
住みながらのリフォームでは、音も気になるところです。
特に、既存設備や壁、床を解体する日は、大きな音や振動が発生することがあります。材料を切る作業や、壁へ下地を固定する作業でも音が出ます。
同じ家の別室にいても、電話やオンライン会議、昼寝、勉強が難しくなることがあります。
在宅勤務をしている方、小さな子どもがいるご家庭、日中に休む必要がある方は、音の大きい日を先に確認しておきましょう。
「特に大きな音が出るのは、何日目ですか。」
「その作業は、何時ごろまで続きますか。」
と聞けば、外出や仕事の予定を調整できます。
すべての日に大きな音が出るわけではありません。解体する日もあれば、職人が静かに仕上げを行う日もあります。
一日中家で我慢するのではなく、音の大きい時間だけ外出する方法もあります。
いつ騒がしくなるのか分からない状態より、音の出る日を知っているほうが、工事期間中も落ち着いて過ごしやすくなります。
子どもやペットが入らない場所を決める
工事中の家には、普段はない物が置かれます。
工具や電気コード、取り外した建材、金属の切れ端、接着剤など、子どもやペットにとって危険な物もあります。
床や天井を一時的に開けている場合や、扉を外している場合もあるため、工事場所へ自由に入れる状態にはしないほうが安心です。
小さな子どもがいる場合は、工事場所と生活する場所を分け、近づかないようにしておきます。
ペットは、音や知らない人の出入りによって落ち着かなくなることがあります。普段は玄関から出ないペットでも、職人や材料の出入りが重なると、外へ飛び出す可能性があります。
工事場所から離れた部屋で過ごせるようにする。一時的に家族やペットホテルへ預ける。ケージやゲートを用意する。
性格や工事期間に合わせて、無理のない方法を考えておきましょう。
ペットがいることは、工事前に担当者へ伝えてください。
職人側も、玄関や扉の開閉に注意しやすくなります。
工事中は、ずっと家にいなくてもよい
工事中は、施主が一日中立ち会わなければならないと思う方もいます。
しかし、多くのリフォームでは、工事中ずっと家にいる必要はありません。
初日の工事範囲の確認や、設備の位置を最終確認するときなど、立ち会いをお願いされる場面はあります。それ以外は、鍵の受け渡しや戸締まりの方法を決め、留守中に工事を進めることもあります。
会社によって鍵の管理方法は異なるため、
- 誰に鍵を預けるのか
- 職人が直接持つのか
- キーボックスを使うのか
- 作業後に誰が戸締まりを確認するのか
- 予定外のことが起きた場合、誰から連絡が来るのか
を確認しておきましょう。
家を空けるのが不安であれば、無理に留守にする必要もありません。
反対に、職人がいるあいだ家へいなければならないと思い、予定をすべて空ける必要もありません。
自分たちの予定と施工会社の管理方法を確認し、安心できる形を決めれば大丈夫です。
近隣へのあいさつは、施工会社と相談する
リフォームでは、室内の工事であっても音や振動が周囲へ伝わります。
職人の車両が出入りしたり、共用廊下やエレベーターを使ったりすることもあります。
工事前には近隣へ、工事期間や作業時間、音が出る可能性などを伝えておくと安心です。
ただし、施主がすべて自分で説明する必要はありません。
施工会社が近隣あいさつを行う場合もあれば、施主と一緒に回る場合もあります。マンションでは、管理組合や管理会社への申請、掲示板への工事案内が必要になることもあります。
工事の一週間ほど前を目安に、
「近隣へのあいさつは、どのようにしますか。」
と施工会社へ確認しておきましょう。
工事内容を説明できる施工会社が一緒であれば、近隣の方から質問が出たときにも答えやすくなります。
職人への差し入れは、用意しなくても大丈夫
工事前になると、
「職人さんへ、お茶やお菓子を出したほうがよいですか。」
と聞かれることがあります。
差し入れは、用意しなくても問題ありません。
飲み物やお菓子がなかったからといって、工事の内容や仕上がりが変わることもありません。
仕事や外出で留守にする方もいますし、毎日準備することが負担になっては、住みながら工事をする大変さが増えてしまいます。
もし渡したいと思えば、ペットボトルの飲み物など、職人が好きな時間に取れるものを用意する方法もあります。
ただ、それはマナーや決まりではありません。
工事の始まりや終わりに、
「よろしくお願いします。」
「今日はありがとうございました。」
と声を掛けるだけでも、気持ちは十分に伝わります。
工事初日の前に、五つだけ確認する
工事の直前には、担当者と当日の流れを確認しておきましょう。
特に確認しておきたいのは、次の五つです。
- 当日の開始時間
- 初日に立ち会いが必要か
- 使えなくなる設備と時間
- 留守にするときの鍵の扱い
- 工事中の連絡先
片付けについて不安が残っている場合は、工事場所と搬入経路を担当者と一緒に見てもらいましょう。
「これも動かしたほうがよいですか。」
「ここまで片付ければ大丈夫ですか。」
と聞けば、必要かどうかを判断してもらえます。
工事前になると、
「準備が足りず、職人さんへ迷惑を掛けないだろうか。」
と心配になるかもしれません。
しかし、リフォーム会社によって、施主へお願いする準備は異なります。インターネットで見つけた準備を、すべて行う必要はありません。
分からないことがあれば、担当者へ聞いて構いません。
施主が完璧に工事の段取りを整えてから、職人を迎える必要はないのです。
先が見えると、住みながらでも過ごしやすくなる
住みながらのリフォームでは、普段どおりにできないことがあります。
設備が使えない。
音やほこりが出る。
職人が出入りする。
家具や家電を動かさなければならない。
こうしたことだけを並べると、工事期間がとても大変なものに見えるかもしれません。
ただ、すべてが同時に、工事の最初から最後まで続くわけではありません。
音が大きい日もあれば、静かに仕上げる日もあります。設備を使えない期間も、工事全体の一部だけということがあります。
いつ、何が起こるのか。
そのとき、何を使えなくなるのか。
自分たちは、どこでどのように過ごせばよいのか。
工事前にそこまで分かっていれば、予定を立てやすくなり、気持ちにも余裕が生まれます。
住みながらのリフォームを、何の不便もなく終えることは難しいと思います。
それでも、施主が工事へ合わせて、すべてを我慢する必要はありません。分からないことや困りそうなことは、工事が始まる前に担当者へ伝えてください。
住みながらのリフォームは、すべてを我慢する期間ではなく、新しい暮らしへ少しずつ切り替わっていく途中の時間です。
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工事の範囲が広く、住みながら進めることが難しい場合は、仮住まいが必要になることがあります。
どのくらいの荷物を持っていくのか。
残す家具や家電を、どこへ置くのか。
電気やガス、水道は止めるのか。
次は、仮住まいや空き家の状態でリフォームするときの準備についてお話しします。