リフォームの見積書を受け取ったとき、
「もう少し安くなりませんか。」
と聞いてもよいのか、迷う方は多いと思います。
結論からお伝えすると、値引きをお願いすること自体は失礼ではありません。
予算を超えているなら、そのことを担当者へ伝え、相談して構わないと思います。
ただし、リフォームの見積金額は、交渉すれば必ず下がるものではありません。
商品代や材料費、職人の工事費、現場を管理する費用など、工事に必要な金額を積み上げて作られているからです。
今日は、値引きをお願いしてもよいのか、どのように相談すればよいのか。そして、値引きの裏側で何が起きているのか。
現役のリフォーム営業として、できるだけ正直にお話しします。
値引きをお願いしても、失礼ではない
見積書の内容には納得していても、予算を少し超えてしまうことはあります。
そのようなときに、
「予算に収まらないので、何か相談できることはありますか。」
と聞くことは、決して失礼ではありません。
営業も、お客様が用意できる予算には限りがあることを分かっています。
値引きできる余地があれば会社側で調整することもありますし、商品の選び方や工事内容を見直し、費用を抑える方法を一緒に考えることもあります。
ただし、値引きをお願いすれば、必ず金額が下がるわけではありません。
すでに必要な費用を詰めて見積もっている場合や、工事の規模が小さく、調整できる余地が少ない場合もあります。
「相談すること」と「希望する金額まで下げてもらうこと」は同じではありません。
値引きをお願いするのは構いませんが、応じてもらえることを前提にはしない。
まずは、このくらいの考え方がよいと思います。
値引きは、必ずできるものではない
リフォームには、
「普通は何%くらい値引きできますか。」
という共通の目安はありません。
工事の内容や規模、商品の仕入れ条件、その会社の見積もり方によって、調整できる金額は変わります。
給湯器やトイレなど、商品と工事内容がある程度決まっているリフォームもあれば、間取り変更を伴い、複数の職人が関わるリフォームもあります。
同じ300万円の工事でも、その内訳は同じではありません。
そのため、最初から、
「ここから何%か下がるだろう。」
と考えて予算を組むのはおすすめしません。
まずは、提示された金額と、その金額で行われる工事内容を確認する。
そのうえで予算に届かないのであれば、何か相談できることがないかを担当者へ聞いてみる。
その順番がよいと思います。
見積金額の内訳や確認したい項目については、005|リフォームの見積書、どこを見ればいい?で詳しくお話ししています。
予算を超えたときは、正直に相談する
予算を超えているなら、そのことを曖昧にせず、担当者へ伝えてみてください。
たとえば、
「この内容でお願いしたいのですが、予算を少し超えています。何か相談できることはありますか。」
と伝えれば、営業も一緒に考えやすくなります。
値引きできる余地があるのか。
選んだ商品の仕様を変えられるのか。
今回行う工事と、あとからでもできる工事を分けられるのか。
費用を抑える方法は、一つとは限りません。
大切なのは、根拠のない金額を一方的に提示するのではなく、今の見積内容をどの程度気に入っていて、予算がどのくらい足りないのかを伝えることです。
「あと50万円下がれば契約します。」
と金額だけを伝えられても、その50万円がどこから出てきたのか、担当者には分かりません。
一方で、
「できれば300万円以内に収めたいのですが、現在の内容で残したいのはキッチンと収納です。」
と分かれば、優先順位を考えながら方法を探せます。
値引き交渉を、会社と金額を競う時間にするのではなく、予算のなかで納得できる工事へ近づけるための相談と考えてみてください。
会社とのミスマッチは、値引きでは埋まらない
見積金額が予算より高いと、
「この会社は高い。」
と感じることがあります。
ただ、金額そのものが高いのではなく、依頼したい工事と会社の特徴が合っていない場合もあります。
たとえば、トイレをできるだけ安く交換したい方が、設計やデザイン提案を得意とする会社へ相談すれば、現場管理や提案にかかる費用を含めた見積もりになることがあります。
反対に、間取りや暮らし方から提案してほしい方が、設備交換を中心に扱う会社へ相談すれば、価格は抑えられても、期待していた提案を受けられないかもしれません。
このような違いは、値引きだけでは解決できません。
価格を優先したいのか。
提案に時間をかけてほしいのか。
工事後の対応まで含めて任せたいのか。
自分たちが求めることと、その会社が得意とすることが合っているかを確認する必要があります。
大きな値引きをお願いしなければ予算に合わないのであれば、その会社が悪いと決める前に、相談先とのミスマッチがないかも考えてみてください。
会社ごとの違いや、自分に合う相談先の考え方は、003|リフォーム会社って何が違う?|自分に合う会社の選び方で詳しくお話ししています。
少しだけ、営業としての本音です
ここからは、少しだけ営業としての本音をお話しします。
リフォームの見積金額は、商品代や材料費、職人の工事費、現場管理にかかる費用などを積み上げて作られています。
そのため、工事内容を変えずに値引きをしても、商品の仕入れ価格や職人の工事費が、それに合わせて安くなるわけではありません。
会社が値引きに応じる場合、その金額は基本的に会社の利益から差し引かれます。金額によっては、仕入れ先や職人へ協力をお願いすることもあります。
つまり、値引きされた金額が、そのまま消えてなくなるわけではありません。
値引き分は、会社や工事に関わる誰かが引き受けています。
営業にとって請負金額は、ただの売上ではありません。現地調査や打ち合わせを重ね、考えてきた提案と、それを形にする工事の金額です。
そのため、大きな値引きを求められると、金額の問題だけではなく、ここまで考えてきた提案や仕事の価値を十分に感じてもらえなかったのかもしれない、と思うことがあります。
もちろん、値引きをお願いすること自体が悪いわけではありません。
「この会社へお願いしたいけれど、予算に少しだけ届かない。」
と正直に相談していただければ、こちらも何かできることがないか、一緒に考えたいと思います。状況によっては、最後のひと押しとして、できる範囲で値引きに応じることもあります。
一方で、特に理由もなく、
「もう少し下がりませんか。」
「あといくら値引きできますか。」
と繰り返されれば、受け取る側の気持ちも同じではありません。
仕事ですから、契約した内容には最後まで責任を持ちます。
ただ、営業も職人も人です。自分たちの仕事を信頼し、納得して任せてもらえたと感じれば、その期待に応えたいという気持ちも強くなります。
値引きそのものではなく、どのような理由で、どのように相談するか。
私は、誰かが無理をして成り立つ値引きよりも、お互いが納得し、気持ちよく工事を始められる相談であってほしいと思っています。
値引き後は、工事内容が変わっていないか確認する
値引きや予算の調整をしたあとは、最終的な見積書をもう一度確認してください。
- 工事範囲は変わっていないか
- 選んだ商品のメーカーや仕様は同じか
- 取りやめた工事は何か
- 別途になる項目が増えていないか
- 保証内容や工期に変更はないか
担当者との話では、
「少し調整しておきます。」
という言葉だけで終わることがあります。
その調整が、会社側の値引きなのか、商品や工事内容の変更なのかは、最終的な書類で確認しておきたいところです。
口頭で説明を受けていても、契約する内容は見積書や契約書へ反映してもらいましょう。
金額が下がったことだけを見て契約すると、あとから、
「この工事は含まれていません。」
「商品の仕様を変更しています。」
という行き違いが起こる可能性があります。
確認するのは、いくら安くなったかだけではなく、その金額で何をしてもらえるのかです。
まとめ
リフォームの値引きをお願いすること自体は、失礼ではありません。
ただし、値引きは必ず受けられるものではなく、すべての工事に共通する値引き率もありません。
予算を超えているなら、
「この内容でお願いしたいけれど、予算に少し届かない。」
と正直に相談してみてください。
会社側で調整できることもあれば、商品の選び方や工事の優先順位を一緒に考えられることもあります。
一方で、理由もなく値引きを繰り返し求めても、納得できるリフォームへ近づくとは限りません。
値引きされた金額は、自然に消えてなくなるものではなく、その差額を会社や工事に関わる誰かが引き受けています。
だからこそ、値引きを勝ち負けのある交渉にするのではなく、予算と工事内容を揃えるための相談にする。
そして、金額を調整したあとは、最終的な工事内容をもう一度確認する。
大切なのは、できるだけ安く契約することではなく、その金額と工事内容に、お互いが納得して工事を始められることです。
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工事中に家で生活するなら、何を用意しておけばよいのか。
施工会社へ確認しておきたいことは何か。