掃き出し窓の障子を外し、ガラスを交換している様子

住まいのこと 窓・断熱

窓ガラスだけ交換できる?|複層ガラス・Low-E・防犯ガラスの選び方

窓ガラスが割れたときや、冬の冷え、夏の日差し、防犯が気になったときは、ガラスだけで対応できることがあります。

サッシを残せるため、窓ごと交換するより工事の範囲を抑えやすい方法です。ただし、希望するガラスが今のサッシへ入るとは限りません。

ガラスには厚みや重さの違いがあり、サッシの溝幅や窓の大きさによって選べる種類が変わります。また、ガラスの性能を上げても、サッシの隙間やアルミ枠から伝わる冷気は残ります。

今回は、窓ガラスだけを交換できる条件と、複層ガラス、Low-E複層ガラス、防犯ガラスの違いを整理します。


サッシに問題がなければ、ガラスだけ交換できる

ガラスが割れていても、サッシの枠や戸車、鍵に問題がなければ、ガラスだけで直せます。

交換するのは、サッシにはめ込まれているガラス部分。今の窓を取り外してガラスを入れ替え、再び元の枠へ戻します。窓の形や開き方は変わりません。

一方、窓が重い、閉めても隙間ができる、枠が変形しているといった不具合は、ガラス交換だけでは直りません。ガラスが割れた原因も含め、サッシの状態まで確認してから交換範囲を決めます。


まず、今入っているガラスを確認する

同じように見える窓でも、入っているガラスはさまざまです。

一枚だけの単板ガラス、2枚のガラスの間に空気層がある複層ガラス、金属の網が入った網入りガラス、表面に凹凸のある型板ガラスなどがあります。複層ガラスの中にも、Low-E膜を使ったものや防犯性能を持たせたものがあります。

ガラスの種類は、端部の刻印や、2枚のガラスの間にあるスペーサーの表示から分かることがあります。ただし、表示だけでは判断しにくいため、見積もりの際に施工会社へ確認してもらうほうが確実です。

端部の刻印や、2枚のガラスの間にあるスペーサーの表示から分かるガラスの種類。

今と同じガラスへ戻すのか、交換を機に性能を変えるのかで、選び方も費用も変わります。


一枚ガラス用のサッシには、入らないガラスもある

ガラス交換で最初に確認したいのが、今のサッシへ納まる厚みです。

複層ガラスや防犯ガラスは、一枚ガラスより厚く、重くなるのが一般的です。サッシの溝幅が足りなければ取り付けられず、窓の大きさによっては重さも問題になります。

一方、既存の一枚ガラス用サッシへ入れやすい、リフォーム向けのガラスもあります。たとえば日本板硝子の真空ガラス「スペーシア」は厚さ6.2ミリで、サッシを交換せずに断熱性を高められるガラスとして紹介されています。

ただし、すべての窓へ取り付けられるわけではありません。ガラスの寸法、サッシの種類、窓の開き方、使用場所を確認したうえで選びます。


複層ガラスは、2枚のガラスと中空層で熱を伝えにくくする

複層ガラスは、2枚のガラスの間に乾燥した空気などの層を設けたものです。一枚ガラスより室内外の熱が伝わりにくくなり、窓辺の冷えやガラス面の結露を抑える効果が期待できます。

ただし、一般的な複層ガラスは一枚ガラスより厚いため、一枚ガラス用のサッシへそのまま入れることはできません。

既存のサッシへ取り付ける方法の一つが、アタッチメント付きの複層ガラスです。厚くなったガラスを専用のアタッチメントで支え、その細い脚部を既存サッシの溝へ納めます。

アタッチメントで複層ガラスを取り付ける方法

この方法でも、サッシの種類や窓の大きさによっては取り付けられません。アタッチメントの分だけガラスまわりが太く見えるほか、ガラスの重さが増えて窓を動かしにくくなることもあります。また、厚みが増えることで、窓や網戸が開閉しにくくなることもあります。

取り付けられるかだけでなく、交換後も窓や網戸を無理なく動かせるかまで確認が必要です。


Low-E複層ガラスは、断熱と日差しの入り方で選ぶ

Low-E複層ガラスは、ガラスの表面に特殊な金属膜を設けた複層ガラスです。一般的な複層ガラスより熱の出入りを抑えやすく、窓の方角や暮らし方に合わせてタイプを選びます。

日射取得型は、室内の熱を逃がしにくくしながら、太陽の熱を取り込みやすいタイプです。冬の日差しを生かしたい窓に向いています。

日射遮蔽型は、外から入る日射熱を抑えるタイプです。西日が強い窓や、夏の暑さが気になる窓で候補になります。

Low-E複層ガラスの日射取得型と日射遮蔽型の違い

出典:日本板硝子「日本板硝子のLow-E複層ガラス」

どちらが優れているというより、窓の方角と困っている季節で選びます。日当たりの少ない窓へ遮蔽型を入れると、室内が暗く感じたり、冬の日射熱を取り込みにくくなったりすることもあります。


防犯ガラスは、割れにくくするのではなく侵入に時間をかけさせる

防犯ガラスは、2枚のガラスの間に厚い中間膜などを挟んだ合わせガラスです。ガラスが割れても中間膜が残るため、穴を開けにくくし、侵入に時間をかけさせます。

日本板硝子の防犯ガラス「セキュオ」も、こじ破りや打ち破りへの抵抗力と、破損時の飛散防止を特徴として案内しています。

ただし、防犯ガラスへ替えれば侵入を完全に防げるわけではありません。鍵の数や位置、窓の大きさ、外からの近づきやすさも関係します。防犯を優先するなら、補助錠やシャッター、面格子なども含めて考えます。

なお、網入りガラスは火災時の飛散を抑えるために使われるガラスで、防犯ガラスとは役割が異なります。網が入っているから防犯性が高いとは限りません。


ガラスを替えても、窓全体の悩みが解決するとは限らない

ガラス交換で改善しやすいのは、ガラス面から伝わる暑さや寒さ、日差し、防犯性などです。

一方、アルミ枠に付く結露、サッシの隙間風、窓のガタつき、鍵の掛かりにくさは、ガラスだけを替えても残ります。音についても、ガラス単体の性能だけでなく、サッシの気密性や換気口などの影響を受けます。日本板硝子も、防音ガラスの効果を高めるには、遮音性の高いサッシとの組み合わせが重要だと案内しています。

今の不満がガラスから来ているのか、サッシを含む窓全体から来ているのか。ここを分けて考えると、ガラス交換、内窓、カバー工法のどれが合うか判断しやすくなります。


見積もりでは、ガラスの名前だけでなく構成まで確認する

見積書に「複層ガラス」「Low-Eガラス」とだけ書かれている場合は、もう少し詳しく確認しましょう。

見るのは、ガラスの厚みと組み合わせ、Low-Eのタイプ、防犯ガラスの中間膜、透明か型板か、網入りかどうかです。同じ名称でも、構成によって性能や見え方、重さが変わります。

あわせて、アタッチメントの有無、ガラスまわりの部材交換、サッシの調整が含まれているかも見ておきます。マンションではガラスも共用部分として扱われることがあるため、管理規約の確認が必要です。

ガラス交換は、入れたいガラスを先に決めるのではなく、今のサッシへ無理なく納まる選択肢の中から、改善したいことに合うものを選びます。


ガラス交換は、今のサッシと困りごとの両方から考える

サッシに問題がなければ、ガラスだけの交換で破損を直し、断熱性や防犯性を見直せます。

複層ガラスは断熱性、Low-E複層ガラスは断熱性と日射の調整、防犯ガラスは侵入への抵抗力を高めるためのものです。ただし、厚みや重さによって、今のサッシへ入れられないことがあります。

ガラス交換で直せる範囲を確認し、枠や隙間の問題が残るなら、内窓や窓交換も含めて考えましょう。


次の記事

窓ガラスは、物が当たっていなくても、温度差やガラス内部の劣化によって割れることがあります。

次は、窓ガラスが突然割れたのはなぜ?|熱割れ・錆割れ・交換の考え方として、割れ方から考えられる原因と、交換するときの注意点を整理します。


次はこちらもどうぞ

-住まいのこと, 窓・断熱