今ある窓をそのまま使いながら、防犯対策を少し強化したい。
そんなときに候補になるのが、防犯フィルムです。
防犯ガラスはガラスそのものを交換する方法ですが、防犯フィルムなら、今のガラスを活かしながら対策できます。
窓を大きく触らずに済むのは魅力です。ただ、どんなガラスにも同じように貼れるわけではありません。
例えば、浴室などで使われる型板ガラスや、網入りガラス、複層ガラス。ガラスの種類によって、使えるフィルムや施工方法が変わってきます。
今回は、防犯フィルムでできることと、施工を考える前に知っておきたいことを整理します。
防犯フィルムは、ガラスを割れなくするものではありません
防犯フィルムを貼っても、ガラスそのものが割れなくなるわけではありません。
ガラスが割れたときに、フィルムが破片をつなぎ止め、大きな穴を開けにくくするものです。
例えば、窓を割ってクレセントに手を伸ばそうとしても、フィルムが簡単に破れなければ、それだけ侵入に時間がかかります。
前の記事でも触れましたが、窓の防犯では、侵入するまでの手間や時間を増やすことが大切になります。
ちなみに、一般的な飛散防止フィルムとは少し役割が違います。
飛散防止フィルムは、割れたガラスが飛び散るのを抑えることが主な目的です。防犯対策として使うなら、ガラス破りに強い防犯用のフィルムを選ぶ必要があります。
防犯目的なら、ガラス全面に貼るのが基本
ホームセンターなどでは、クレセントのまわりだけに貼る、小さな防犯対策用フィルムも販売されています。
鍵のまわりを補強する方法ですが、それ以外の部分を破られてしまう可能性は残ります。
防犯性能をしっかり求めるなら、基本はガラス全面への施工です。
日本ウインドウ・フィルム工業会でも、CPマークの対象となる防犯フィルムには、ガラスの露出部分全体に貼るなどの施工条件が定められています。
部分貼りにも一定の役割はありますが、全面貼りと同じような効果を期待するのは避けたいところです。
防犯フィルムを貼りやすいガラス、そうでないガラス
今付いているガラスの種類によって、使えるフィルムや施工方法は変わります。
まずは、大まかな違いを見てみましょう。

透明な単板ガラス
一般的な平らな透明ガラスは、防犯フィルムを比較的施工しやすいガラスです。
製品の選択肢も多く、今のガラスを残して防犯対策をしたい場合には、候補にしやすいでしょう。
ただし、ガラスの厚みによって使える製品が変わることはあります。
型板ガラス
浴室やトイレ、勝手口などでよく使われる、表面がデコボコしたガラスです。
型板ガラスは両面がデコボコしているわけではありません。一般的には室内側に凹凸があり、屋外側は比較的平らになっています。
通常の防犯フィルムは凹凸面にうまく密着しないため、室内側からそのまま貼ることはできません。
では、反対側の平らな面ならどうでしょうか。
実際に、型板ガラスの屋外側へ、外貼り用フィルムを施工する方法はあります。ただ、普通の内貼り用フィルムを屋外で使うことはできません。雨や紫外線の影響を受けるため、外貼りに対応した製品が必要です。
さらに、防犯用として使えるかどうかも別の話になります。
一方、室内側の凹凸面に貼れる専用フィルムも販売されています。
ただ、こちらも飛散防止を目的としたものや、クレセントまわりだけに貼る小型の製品など、用途はさまざまです。
凹凸面に貼れるからといって、全面貼りの防犯フィルムとして使えるとは限りません。
型板ガラスで全面的な防犯対策を考える場合、選べるフィルムはかなり限られます。
浴室やトイレの小窓であれば、補助錠や面格子なども候補になりますし、窓の使い方によっては、平らなガラスへの交換を考える方法もあります。
型板ガラスは、普通の透明ガラスと同じようにフィルムだけで考えるより、窓全体で防犯対策を考えたほうが選択肢は広がります。
網入りガラス
網入りガラスにも、防犯フィルムを施工できる製品があります。
ワイヤーが入っているので丈夫そうに見えますが、熱による温度差には注意が必要なガラスです。
フィルムを貼ると、ガラスが受ける熱の状態が変わることがあります。日光で温まった部分と、サッシに隠れている部分との温度差が大きくなると、ガラスにひびが入ることがあります。
これが熱割れです。
網入りガラスだから必ず熱割れするわけではありませんが、施工前にはその可能性を調べましょう。
熱割れの確認には、ガラスの種類や厚み、窓の方角、日当たりなどの情報を使います。これらをもとに行う熱割れ計算は、フィルムメーカーや施工業者に依頼できます。
施主が自分で計算する必要はありませんし、計算を行っても熱割れを完全に防げるという意味ではありません。
網入りガラスへの施工を相談するときは、フィルムを貼れるかどうかと合わせて、熱割れ計算もお願いしておくと話が進めやすくなります。
複層ガラス・Low-E複層ガラス
複層ガラスにも、防犯フィルムを施工できる製品があります。
2枚のガラスを組み合わせたものだけでなく、3枚のガラスを使ったものにも対応できる製品があります。
日本ウインドウ・フィルム工業会でも、複層ガラスに施工できる防犯フィルムが紹介されています。
ただ、ガラスの厚みや組み合わせによって、使える製品は変わります。
Low-E複層ガラス(断熱・遮熱性能を高めた複層ガラス)も同様。
Low-Eガラスには、熱の出入りを抑えるための特殊な膜が使われていますが、防犯フィルムが一律に使えないわけではありません。
施工する際は、ガラスの構成を調べたうえで、必要に応じて熱割れ計算も行います。
ここから先の製品選びや計算は、施工業者に任せて大丈夫です。
相談するときに「複層ガラスです」「Low-Eガラスを使っています」と伝えておくと、業者も確認する内容を絞りやすくなります。
ガラスの種類が分からなければ、建築時の仕様書を確認したり、現地で調べてもらったりする方法もあります。
防犯フィルムを選ぶときは、CPマークも参考に
防犯フィルムを探すとき、目安のひとつになるのがCPマークです。
CPマークは、所定の防犯性能試験を通過した建物部品などに表示されるマークで、防犯フィルムも対象になっています。
製品だけでなく、施工方法などにも条件があるため、防犯対策として施工を依頼するなら、CPマークの対象になるか聞いてみてもいいと思います。
対象となる製品は、日本ウインドウ・フィルム工業会のホームページでも紹介されています。
DIYで貼るなら、ここだけは注意したい
防犯フィルムは、自分で貼ることもできます。
ただ、防犯目的なら、見た目がきれいに貼れたかどうかだけでは足りません。
ガラス全面に貼ること、端まで浮かせず密着させること、水貼りの製品なら水分や気泡をできるだけ残さないこと。
このあたりは押さえておきたいポイントです。
フィルムによって施工方法も異なるため、購入した製品の説明に従って作業しましょう。
特に大きな掃き出し窓になると、フィルムそのものが大きく、扱いも難しくなります。
防犯性能をきちんと求める場合や、施工に不安がある場合は、専門業者に任せるほうが安心です。
防犯フィルムにも寿命があります
防犯フィルムは、一度貼れば永久に使えるものではありません。
紫外線や熱、湿気などの影響を受けながら、少しずつ劣化していきます。
たとえば3Mでは、建築用ウインドウフィルムの交換目安として、内貼りで10〜15年程度、外貼りでは5〜7年程度と案内しています。
もちろん、製品や使用環境によって違いはあります。
端が剥がれてきたり、白濁や変色が目立ってきたりしたら、貼り替えを考える時期かもしれません。
見た目に大きな変化がなくても、いつまでも新品と同じ性能が続くわけではありません。
施工した時期が分かるようにしておくと、後から管理しやすくなります。
防犯フィルムは、今の窓に合ったものを
今ある窓を活かして防犯対策を加えられるのが、防犯フィルムのいいところです。
一方で、ガラスの種類によっては施工が難しかったり、別の方法が合っていたりすることもあります。
業者へ相談するときは、今付いているガラスの種類と、全面貼りを希望していることを伝えておくと、具体的な話に進みやすくなります。
ガラスの種類が分からなければ、窓の写真を見せたり、現地で確認してもらったりすれば大丈夫です。
フィルムが適している窓なら、そのまま施工を考えられますし、難しい場合はガラス交換や補助錠など、別の方法を検討することになります。
防犯フィルムは便利な方法ですが、どの窓にも同じように使えるわけではありません。
今の窓の状態や使い方に合わせて、無理のない方法を選んでもらえればと思います。
次の記事
窓の防犯対策についてはここまで。
次は、窓まわりの相談でもよく聞く「結露」について整理します。
窓の結露はリフォームでどこまで減る?|内窓・複層ガラスで変わること
内窓を付ければ結露はなくなるのか。複層ガラスならどうなのか。
実際にリフォームすると、どこまで変わるのかを見ていきます。