同じ浴室サイズでも、浴槽へ入ったときの感覚は意外と違います。
内側を広く取った形もあれば、背中や肩に沿うように丸みをつけた形もあります。浴槽内に段差があるかどうかでも、足の置き方や必要なお湯の量は変わってきます。
見積もりを見ると、FRPや人造大理石といった材質の違いが出てくることもあります。形ほど目立ちませんが、表面の質感や光沢、価格にも関わります。
浴槽は、外から眺めただけでは自分の体に合うか分かりません。
今回は、スクエア型とラウンド型の違いを中心に、ベンチタイプやワイド形状、浴槽サイズと材質の考え方まで見ていきます。
浴室の窓を残すかどうかで迷っている場合は、浴室の窓は残す?なくす?から確認してみてください。
スクエア型|浴槽内を少しでも広く使いたい人向け
スクエア型は、浴槽の内側が直線に近く、四角くつくられた形です。
側面や足元の丸みが少ないぶん、内側の空間を広く取りやすくなります。浴槽の中でひじやひざが当たる窮屈さを減らしたい人や、体が大きい人には、こちらが合いやすいと思います。
見た目も直線的で、すっきりした印象です。
ただし、スクエア型なら必ず広いとは限りません。浴槽の縁の厚さや背もたれの角度、足元の絞り方は、メーカーや商品によって違います。
同じ浴室サイズで比べるときは、外側の大きさではなく、内側の横幅や足元がどのくらい残っているかを見てみてください。
ラウンド型|背中をやさしく預けたい人向け
ラウンド型は、浴槽の内側が柔らかくカーブした形です。
背中や肩まわりに沿うようにつくられているため、もたれたときに体をやさしく包んでくれる感覚があります。
私は、どちらかといえばラウンド型派。浴槽に背中を預けたときに、体が落ち着く感じがするからです。
一方で、体格や座る位置によっては、カーブした部分がひじや足に当たり、スクエア型より狭く感じる人もいます。
スクエア型とラウンド型の違いは、カタログの寸法だけでは分かりにくいところです。見た目の好みだけでなく、実際に体を預けたときの感覚で比べたい形です。
ベンチタイプ|半身浴や子どもの腰掛けに使える
浴槽の内側に段差があり、腰掛けられるベンチタイプもあります。
ベンチに座れば半身浴ができ、子どもと一緒に入るときには、腰掛ける場所としても使えます。
ベンチ部分が浴槽内の容積を占めるため、同じくらいの大きさの浴槽でも、段差のない形より必要な湯量を抑えられます。
ただし、ベンチがあるぶん、浴槽底の平らな部分は小さくなります。足をまっすぐ伸ばしたい人や、浴槽内を広く使いたい人には、段差が邪魔に感じられるかもしれません。
半身浴をする人や、子どもと一緒に入る家庭、毎日ためるお湯を少し抑えたい人には便利です。一方、段差を使わない人には窮屈さが残るため、好みが分かれやすい形でもあります。
大きな浴室では、洗い場側へ広がる形もある
1618や1620といった大きめの浴室では、浴槽が洗い場側へ広がったワイド形状を選べる商品もあります。
肩まわりの横幅を広く取りやすく、一人でゆったり入りたい人や、親子で一緒に入りたい家庭には魅力のある形です。
一方、浴槽が洗い場側へ張り出すため、そのぶん洗い場の形も変わります。浴室全体は広くても、体を洗う場所の張り出しが気になることはあります。
これまでの打ち合わせでは、このワイド形状を使いたいから浴室サイズを決めた人を、私はまだ見たことがありません。
先に建物へ納まる浴室サイズを決め、その大きさで選べる浴槽の一つとして比べるケースがほとんどです。
コンパクトな浴室では、ひざを曲げる感覚が強くなる
1116や1216などのコンパクトな浴室では、浴槽の外形や内側の広さにも限りがあり、ひざを曲げて入る感覚が強くなります。
ある程度ゆったり入りたいなら、1418や1616など、もう少し大きな浴室が候補になります。
ただし、浴室サイズの数字は浴室内寸の目安であり、浴槽そのものの長さを示しているわけではありません。たとえば、1216と1416は短辺方向の広さが違いますが、長辺方向はいずれも160cmです。1416へ変えれば、必ず足を長く伸ばせるとは限りません。
同じ浴室サイズでも、浴槽の縁の厚さ、足元の絞り方、背もたれの角度は商品ごとに違います。身長や体格によっても、足を伸ばせるかどうかは変わります。
また、お風呂だけを交換するリフォームでは、現在と同じ浴室サイズへの交換が基本です。浴槽を広くしたいと思っても、建物側に余裕がなければ、浴室そのものを大きくすることはできません。
浴室サイズの読み方や、サイズアップできる条件は、浴室のサイズはどう選ぶ?|1216・1317・1418・1616の違いで詳しくお話ししています。
形を選んだら、浴槽の材質も比べる
システムバスの浴槽でよく見かけるのは、FRPと人造大理石、人工大理石です。メーカーやシリーズによっては、鋳物ホーローも選べます。
形ほど入り心地を大きく左右するものではありませんが、見た目の光沢や触れたときの感覚、価格は変わります。
材質の名前が同じでも、表面の仕上げや色、柄は商品ごとに違います。カタログの説明だけで決めず、実物に触れ、見積もりの差額も一緒に見てみてください。
FRP|価格を抑えやすい標準的な材質
FRPは、ガラス繊維で補強したプラスチックです。軽くて強度があり、多くのシステムバスで標準仕様に採用されています。
人造大理石と比べると、色や光沢は控えめです。ただ、浴槽に高級感を求めないのであれば、無理に変更する必要はありません。浴室全体の価格を抑えたいときにも選びやすい材質です。
表面を硬い物でこすったり、対応していない洗剤を使ったりすると、細かな傷や表面荒れの原因になります。これはFRPに限りませんが、長くきれいに使うためにも、メーカーが案内しているお手入れ方法は見ておきたいところです。
昔の浴槽の印象から、FRPは汚れやすいと思う人もいるかもしれません。実際には表面の仕上げも商品によって違うため、材質名だけで決めつける必要はありません。
人造大理石・人工大理石|光沢や滑らかさを重視する人向け
「人造大理石」と「人工大理石」は、メーカーによって表記が違います。どちらも天然の大理石をそのまま使った浴槽ではなく、樹脂などを使って成形したものです。
FRPよりも光沢や透明感があり、手で触れたときの滑らかさにも違いを感じます。ショールームで並べて見ると、光沢の違いはよく分かります。
人造大理石には、アクリル系やポリエステル系などがあり、質感や価格も同じではありません。ただ、見積書には材質ではなく商品名だけが記載されていることもあります。
標準のFRP浴槽から変更する場合は、浴槽だけでいくら上がるのかも確認してみてください。毎日肌に触れるものだからこそ差額をかけたい人もいれば、形が合っていればFRPで十分という人もいます。
鋳物ホーロー|独特の光沢と滑らかさがある
選べるメーカーやシリーズは限られますが、鋳物の表面をガラス質で覆った、鋳物ホーロー浴槽もあります。
滑らかな肌触りと深い光沢があり、浴槽自体が熱を蓄えることも、ほかの材質にはない良さです。
一方、一般的なFRP浴槽より価格は上がりやすく、どのシステムバスでも自由に選べるわけではありません。ホーロー浴槽にひかれる場合は、浴室メーカーを選ぶ段階から候補に入れておく必要があります。
材質に迷ったとき、私はまず体に合う形を優先したほうがよいと思っています。形を決めたあとで、光沢や肌触りにどこまで費用をかけるかを考えるほうが、選びやすいからです。
同じ形でも、メーカーによって入り心地は変わる
スクエア型、ラウンド型、ベンチタイプという分け方はできますが、実際の形や呼び名はメーカーごとに違います。
同じラウンド型でも、背もたれの傾きや肩まわりの広さ、足元の絞り方は同じではありません。ベンチタイプなら、段差の高さや奥行きも違います。
浴槽の大きさが同じでも、こうした細かな形によって入り心地は変わります。
カタログの平面図と容量だけで、自分に合う形を決めるのは難しいところです。候補を二つか三つに絞ったら、最後はショールームで入り比べるのが一番です。
ショールームでは、背中を預けて座ってみる
ショールームでは、浴槽を外から眺めるだけでなく、靴を脱いで中へ入ってみます。
普段の入浴に近い位置に腰を下ろし、背中を預けてみると、写真では分からなかった違いが見えてきます。
- 背中や肩のカーブが体に合うか
- ひじやひざが浴槽に当たらないか
- 足をどこまで伸ばせるか
- ベンチの段差が邪魔にならないか
- 縁をまたいで出入りしやすいか
- 浴槽表面の滑らかさや光沢をどう感じるか
- 展示品と見積もりの浴槽が同じ材質か
スクエア型の広さが心地よい人もいれば、ラウンド型に包まれる感覚が落ち着く人もいます。夫婦でも好みが分かれることは珍しくありません。
浴槽サイズやメーカーが変われば、同じ名前の形でも感覚は変わります。また、展示品は人造大理石でも、見積もりにはFRP浴槽が入っていることがあります。
できれば実際に使う家族がそれぞれ入り、どこが楽で、どこが窮屈かを比べたうえで、展示と見積もりの材質が同じかも確かめてみてください。
浴槽は、広さと体の預け方、材質から選ぶ
少しでも浴槽内を広く使い、窮屈さを避けたいならスクエア型が合いやすいと思います。一方、背中をやさしく預け、包まれるように入りたいならラウンド型です。
半身浴をする人や、子どもの腰掛け、湯量の節約を考えるなら、ベンチタイプが候補になります。大きな浴室では、横幅のあるワイド形状も選べます。
形が決まったら、FRPと人造大理石などの材質も比べます。私は、体に合う形を選べていれば、材質は予算と好みで決めてよいと思います。
形の名前や材質だけで、自分に合う浴槽を決めるのは難しいものです。
最後は実際に浴槽へ入り、いつもの姿勢で背中を預け、広さと落ち着き、表面の質感まで比べてみる。
一度座ってみるだけでも、カタログでは分からなかった好みが見えてきます。
次の記事
浴槽の形が決まったら、次はお風呂の寒さをどこまで対策するか考えます。
浴室全体の断熱だけでなく、窓や床、暖房設備をどう組み合わせるかによって、入浴前後に感じる寒さは変わります。