冬場の入浴は、少し気合いがいります。
暖かい部屋で服を脱ぎ、冷えた浴室へ入る。思い切って「えいや」と入ってしまってもよいのですが、毎日のことになると、この寒さが地味にこたえます。
昔の私は、シャワーがお湯になるまで待ち、床を温めてから浴室に入っていました。冬は毎日、それが当たり前だったんです。
リフォームでは、床や壁、天井の断熱、高断熱浴槽、浴室暖房、床暖房など、寒さをやわらげる仕様がいくつも出てきます。
でも、すべての家に全部必要なわけではありません。
マンションか戸建てか、窓があるか、浴室が一階にあるかによって、冷え方は変わります。家族が続けて入るのか、時間を空けて入るのかでも、高断熱浴槽の必要性は変わってきます。
今回は、住まいと家族の使い方に合わせて、お風呂の寒さ対策をどこまで考えればよいのかを見ていきます。
寒さ対策の前に浴槽の形や材質を整理したい場合は、浴槽の形はどう選ぶ?から確認してみてください。
お風呂の寒さは、場所によって感じ方が違う
浴室が寒いといっても、気になる場所は家庭によって違います。
扉を開けた瞬間の空気が冷たいのか、洗い場へ踏み出した一歩目がつらいのか。窓の近くで冷気を感じる人もいれば、家族が入ったあとに浴槽のお湯が冷めていることが気になる人もいます。
空気の冷たさには浴室暖房、足裏には床、窓から入る冷気には窓の断熱、お湯が冷めるなら高断熱浴槽というように、同じ「寒い」でも選ぶものは変わります。
床へ足をついたときなのか、服を脱いだときなのか、それとも最後に入る人のお湯が冷めているのか。つらい場面が分かると、選ぶものもかなり絞れます。
マンションは、浴室全体の断熱まで要らないことが多い
正直、マンションで浴室全体の断熱を追加する場面は、それほど多くないと私は思います。
中間階の中住戸は、戸建てより外気に触れる面が少なく、浴室に窓がない間取りも多くあります。今の浴室で強い寒さを感じていないなら、壁や天井まで断熱仕様へ変えなくても、十分なことが多いです。
私もマンションに住んでいますが、冷たさを感じにくい床だけで十分に快適です。昔のように、入る前にシャワーで床を温めることもなくなりました。
気をつけたいのは、一階の住戸や、下の階が駐車場や外部になっている住戸です。床側から冷えやすく、角住戸で浴室の壁が外気に面している場合や、浴室に窓がある場合も、同じマンションでも寒さの感じ方は変わります。
こうした条件があるなら、床断熱や窓の対策を加えておくと、寒さを抑えやすくなります。浴室全体へ一律に断熱を足すより、冷えやすい場所に絞ったほうが、費用も膨らみにくくなります。
窓があるなら、先に窓の冷たさを見ておく
窓は、浴室のなかでも外気の影響を受けやすい場所です。
壁や床を新しくしても、古いアルミサッシと一枚ガラスが残れば、窓の近くで冷気を感じることがあります。対策には、ガラス交換や浴室用の内窓、窓を小さくしたり、なくしたりする方法があります。
ただ、マンションでは共用部分にあたるサッシを自由に交換できないことが多く、戸建てでも外壁工事を伴えば工事範囲が広がります。窓の寒さが気になるという相談では、浴室本体と一緒に、窓へ手を入れた場合の見積もりも並べます。
窓を残す場合の注意点や、なくす場合の工事範囲は、浴室の窓は残す?なくす?で詳しくお話ししています。
戸建ては、床・壁・天井の断熱を入れておきたい
戸建ての浴室は、マンションより外気や床下の影響を受けやすく、特に一階では床下から冷えが伝わります。せっかくユニットバスを交換するなら、私は床だけでなく、壁と天井まで含めた断熱仕様を選んでおきたいです。
各メーカーの戸建て向けシステムバスには、床・壁・天井へ断熱材を加える仕様がありますが、標準かオプションかは商品ごとに違います。見積書に「断熱材パック」「あたたかパック」などの記載があれば、どの部分まで含まれているかを見ておきます。
古い戸建てでは、ユニットバスを解体したあと、建物側の断熱材が入っていなかったり、隙間ができていたりすることもあります。工事前には見えない場所なので、解体後に分かることも含め、どこまで対応するのかを施工会社へ聞いておくと話が早いです。
冷たさを感じにくい床だけでも、入りやすさは変わる
浴室へ入ったとき、最初に冷たさを感じやすいのが洗い場の床です。
最近のユニットバスには、断熱層を設け、足裏から熱が逃げにくい床があります。床そのものを暖めるわけではありませんが、一歩目の「ヒヤッ」を感じにくくしてくれます。
電源も入浴前の準備もいらないため、マンションで冬の床だけが気になるなら、まずはこの仕様だけでもよいと思います。
在来浴室でタイル仕上げを残す場合にも、従来のタイルより冷たさを感じにくい浴室用タイルがあります。ユニットバスへ交換するか、在来浴室をつくり直すかによって選べる床は変わります。
今の浴室がユニットバスか在来浴室か分からない場合は、ユニットバスと在来浴室は何が違う?から確認できます。
高断熱浴槽は、入浴時間がずれる家庭に合いやすい
浴室の断熱と、浴槽のお湯を冷めにくくする断熱は別のものです。
高断熱浴槽は、浴槽のまわりを断熱材で包み、断熱性のあるふたと組み合わせて、お湯の温度低下を抑えます。
家族が続けて入るなら、もともと大きく冷める前に入浴を終えるかもしれません。反対に、帰宅時間が違い、最後の人が数時間後に入る家庭では、追いだきの回数を抑えやすくなります。
快適さだけでなく、光熱費を抑える助けにもなるため、私は入れておいてよい仕様だと思っています。高断熱浴槽を選ぶと、ふたも断熱仕様になるのが基本です。
浴室暖房と床暖房は、暖める場所が違う
入浴前に浴室全体を暖めたいなら、浴室暖房乾燥機が候補になります。
あらかじめ暖房運転をしておけば、服を脱いで浴室へ入ったときの温度差を小さくできます。洗濯物の乾燥や換気にも使えますが、本体と工事の費用に加え、運転中の光熱費もかかります。
床暖房は、洗い場の足元を直接暖める設備です。一歩目の冷たさを減らし、体を洗っている間も足元の暖かさが続きます。
でも、床暖房だけで浴室の空気まで素早く暖められるとは限りません。浴室全体の予備暖房を重視するなら浴室暖房、足裏の暖かさを重視するなら床暖房と、役割を分けて考えたほうが選びやすくなります。
どちらも安い設備ではありません。寒さをどのくらいつらく感じるか、衣類乾燥にも使うか、高齢の家族がいるかを見ながら、差額をかけるか決めます。
高齢の家族がいるなら、脱衣所まで暖かくする
高齢の家族がいる家庭では、いわゆるヒートショックも気になります。暖かい居室から寒い脱衣所と浴室へ移り、その後に熱いお湯へ入るため、短い間に大きな温度差が生まれます。
消費者庁も、入浴中の事故を防ぐため、入浴前に脱衣所や浴室を暖めるよう呼びかけています。
同じ注意喚起では、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までが一つの目安です。
浴室暖房を入れても、服を脱ぐ洗面脱衣室が冷えたままでは、移動するときの寒さは残ります。脱衣所にも暖房を用意し、入浴前に暖めておくと、浴室へ移るときの温度差を小さくできます。
暖房設備を入れても、お湯が熱すぎれば体への負担は残ります。入浴前に家族へひと声かけるだけでも、様子を見てもらいやすくなります。
浴室暖房乾燥機や脱衣所暖房を用意するのか、今の暖房方法を続けるのかは、家族の年齢や入浴時間によって変わります。
住まいと家族に合わせて、必要なところだけ暖かくする
お風呂の寒さ対策は、選べる設備を全部入れればよいわけではありません。
中間階で窓のないマンションなら、冷たさを感じにくい床と高断熱浴槽だけで、十分に快適になる家庭も多いと思います。
窓があるマンションでは窓を、一階や下が駐車場の住戸では床の断熱を先に見ます。戸建てなら、床・壁・天井の断熱を基本にし、窓があれば一緒に対策するほうが寒さは残りにくくなります。
高齢の家族がいる家庭や、入浴前の空気の冷たさがつらい家庭では、浴室暖房と脱衣所の暖房も候補になります。
マンションは窓と床を中心に、戸建ては浴室全体の断熱を基本に考える。
そのうえで、自分たちが寒いと感じている場所へ、必要な設備を足していくくらいが、無理のない選び方だと思います。
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寒さ対策を考えると、浴室暖房乾燥機を付けるかどうかで迷います。
暖房として使うのか、雨の日に洗濯物を乾かしたいのか、入浴後の換気を任せたいのかによって、同じ一台でも必要性は変わります。
次は、浴室暖房乾燥機は必要?|暖房・乾燥・換気の使い分けへ進みます。