カップボードを選ぶとき、最初に収納量を気にする方は多いと思います。
食器や食品が多ければ、できるだけ大きな収納を選びたくなります。
ただ、カップボードは奥行きを深くするほど使いやすくなるものでもありません。
深くすれば収納量は増えますが、冷蔵庫との並び方やキッチンの通路、LDに残る広さも変わります。
高さを決めるときも、カウンターで作業しやすいかだけではなく、電子レンジから熱い皿を取り出せるか、炊飯器のふたを開けられるかまで見ておきたいところです。
今日は、カップボードの奥行きと高さを、実際に置く家電や冷蔵庫、部屋全体の広さから考えていきましょう。
カップボードの奥行きは、450mmと650mmを基本に考える
カップボードの奥行きは、450mmと650mmの二つを中心に考えると分かりやすくなります。
メーカーやシリーズ、収納の種類によってほかの寸法もありますが、よく比べるのはこの二つです。
奥行き450mmは場所を取りにくく、通路やLDの広さを残しやすい。
奥行き650mmは、収納量とカウンターの広さを確保しやすい。
二つの差は200mmです。
カップボードだけを見ていると、それほど大きな差には感じないかもしれませんが、対面キッチンでは、カップボード、通路、キッチン本体が奥行き方向へ並びます。
通路幅を変えずに450mmから650mmへ変更すれば、その200mm分だけキッチン本体がLD側へ出ます。
食卓やソファまで図面へ置いてみると、この差が意外と大きいことがあります。
奥行き450mm|通路とLDを広く残しやすい
奥行き450mmは、よく選ばれている寸法です。
キッチンまわりに必要な奥行きを小さくできるため、作業通路やLDの広さを残しやすくなります。
食器を収納したときも奥まで見渡しやすく、開き扉でも比較的使いやすいでしょう。
対面キッチンにしたいけれど、食卓やソファのまわりを狭くしたくない。そのような場合にも選びやすい奥行きです。
気をつけたいのは、電子レンジやオーブンレンジの大きさ。
本体の脚はカウンターへ載っていても、前面や取っ手が少し出る商品があります。
きれいに納めたい場合は、カップボードを決める前に、置く家電の奥行きを測っておくとよいでしょう。
奥行き650mm|冷蔵庫とそろえやすく、収納量も多い
奥行き650mmは冷蔵庫の奥行きに近く、横へ並べたときに前面をそろえやすくなります。
冷蔵庫とカップボードの凹凸が少ないため、キッチンの後ろ側がすっきり見えるところも良さの一つです。
カウンターにも余裕があります。
電子レンジやトースターを置いても、その手前へ皿や買ってきた食品を一時的に置けます。
もちろん、収納量も450mmより多くなります。
ただ、深い収納は、奥に入れた物が見えにくくなり、下台を開き扉にすると、手前の物を動かさなければ、奥の物を取り出せないこともあります。
私なら、奥行き650mmの下台は引き出しを中心に考えます。
引き出しごと手前へ出せれば、奥に入れた物も見つけやすく、深さを無駄にしません。
そのぶん、引き出ししろも深いので、通路幅や食洗器との干渉に気を付けましょう。
浅いカップボードでは、どこをそろえるか考える
奥行き450mmのカップボードと冷蔵庫を横へ並べるとき、図面上で少し分かりにくいのが、前と後ろのどちらをそろえるかです。
冷蔵庫とカップボードの前面をそろえると、キッチン側から見た並びはきれいに見えます。
その代わり、カップボードを前へ出すことになり、その部分で壁に段差ができます。
反対に、冷蔵庫とカップボードを同じ壁際へ置けば、後ろの壁はフラットです。
ただし、奥行きのある冷蔵庫がカップボードより手前へ出ます。
前面をそろえるのか、後ろの壁をそろえるのか。
工事をできるだけ増やしたくない場合はどうするのか。
冷蔵庫とカップボードを並べるときは、どこに段差ができるのかまで見ておくと、完成後の印象を想像しやすくなります。

対面キッチンでは、200mmがLDへ影響する
対面キッチンの奥行きは、カップボードだけでは決まりません。
カップボードの前に作業通路があり、その先にキッチン本体や腰壁があります。
カップボードを深くしても通路幅を変えなければ、キッチン本体がその分だけLD側へ移動します。
200mmと聞くとわずかな差に思えますが、食卓の椅子を引く場所や、人が後ろを通る余裕に影響することがあります。
カップボードの収納量だけを見て決めるのではなく、食卓とソファまで図面へ置き、LD全体で無理がないかを見ておきます。
キッチンと背面収納の間に必要な距離は、キッチン通路幅は何cm必要?で詳しくお話ししています。
家電は、幅と奥行きだけでは置けるか分からない
カップボードを選ぶ前に、今使っている家電と、これから置きたい家電を並べてみます。
電子レンジ、炊飯器、電気ケトル、トースター、コーヒーメーカー。
これだけでも、必要なカウンターの長さは家庭によってかなり違います。
家電の寸法を見るときは、本体の幅と奥行きだけでは足りません。
電子レンジやオーブンレンジは、本体より取っ手が前へ出ていることがあります。扉を開けば、さらに手前へ張り出します。
上や横に放熱のための空間が必要な商品もあります。
つまり、脚がカウンターへ載れば置ける、というわけではありません。
取っ手を含めた奥行き、扉を開いた寸法、周囲に必要な空間まで見る。
今の家電にぴったり合わせすぎると、買い替えたときに置けなくなることもあります。少し余裕を持たせておくほうが、あとで困りにくくなります。
カップボードの高さは、850mm前後と1,000mm前後が目安
カップボードのカウンター高さは、850mm前後と1,000mm前後を目安に考えます。
細かな寸法は、メーカーやシリーズによって違います。
850mm前後であれば、電子レンジの庫内が高くなりすぎません。熱い皿を取り出しやすく、盛り付けや食品の一時置きにも使いやすい高さです。
1,000mm前後は、腰を深く曲げずに家電を操作できます。
ただ、カウンターが高くなれば、その上に置く電子レンジの庫内も高くなります。
身長によっては中が見えにくく、熱い皿や汁物を持ち上げて取り出すことになるかもしれません。
キッチン本体とカップボードを、同じ高さにそろえる必要はありません。
キッチンでは食材を切ったり混ぜたりしますが、カップボードでは家電を操作し、庫内から物を取り出します。
作業の内容が違うため、それぞれ使いやすい高さを選んで大丈夫です。
キッチン本体の高さについては、キッチンの高さは何cmが使いやすい?|身長だけで決めない選び方で詳しくお話ししています。
炊飯器と吊戸棚は、開いた状態まで確認する
炊飯器は、本体の寸法だけを見て置き場所を決めると、使い始めてから困ることがあります。
ふたを開けると、閉じた状態よりも高くなります。
上に吊戸棚があると、ふたが途中までしか開かない。内釜をまっすぐ取り出せない。そのような納まりになることもあります。
炊飯中の蒸気も気になります。
カウンターの上へ置くのか、スライド棚へ収納するのか、蒸気を排出できる家電収納を使うのか。
炊飯器をどのように使うかで、必要な収納も変わります。
吊戸棚も、天井までたくさんつくればよいとは限りません。
高い位置へ入れた物は、結局、脚立や踏み台がなければ取り出せません。普段使う食器や食品は、無理なく手が届く範囲へ納めたいところです。
家電とごみ箱を決めてから、収納を組み合わせる
カップボードの打ち合わせでは、引き出しの数や収納の幅から決めたくなるかもしれません。
ただ、先に収納を組み合わせると、あとから家電やごみ箱を空いた場所へ押し込む計画になりがちです。
まずは、置く物を確認します。
カウンターへ出して使う家電。
収納へしまう食器。
買い置きの食品。
分別用のごみ箱。
使うときに引き出したい炊飯器。
置く物が分かれば、必要な奥行きや高さ、収納の形も考えやすくなります。
家電を一か所へまとめるなら、コンセントの数と位置も一緒に決めておきます。
奥行き650mmでも、奥に物を重ねて使えなくなれば、増やした収納を生かせません。
奥行き450mmでも、よく使う物が取り出しやすい場所へ納まっていれば、使いやすいカップボードになります。
カップボードは、家電と部屋の広さから決める
奥行き450mmは、通路とLDの広さを残しやすい。
奥行き650mmは、冷蔵庫と前面をそろえやすく、収納とカウンターを広く取れる。
どちらにも良いところがあります。
私が打ち合わせで見ているのは、収納量だけではありません。
カップボードを深くしたとき、キッチンがLD側へどのくらい出るのか。
冷蔵庫とカップボードの前後を、どのように納めるのか。
電子レンジや炊飯器を、無理なく使えるのか。
こうしたことを図面や展開図で確認しながら、奥行きと高さを決めていきます。
空いている壁へ収納を当てはめるのではなく、置く家電とLD全体の広さから考える。
カップボードを選ぶときは、ここを忘れないようにしたいところです。
次の記事
カップボードの奥行きと高さが決まったら、次は収納の開き方を考えます。
引き出しは、奥に入れた物まで見渡しやすい収納です。
開き扉は、背の高い物や大きな物を納めやすい良さがあります。
どちらが使いやすいかは、収納の奥行きや、しまいたい物によって変わります。
次は、カップボードの収納はどう選ぶ?|引き出し・開き扉・家電収納の使い分けへ進みます。