床から約700〜1,500mm。
この記事では、この範囲をキッチン収納のゴールデンゾーンとして考えます。
深くかがまず、背伸びもしすぎず、物を見つけて取り出しやすい高さです。使う人の身長によって多少前後しますが、収納の中身を振り分ける目安になります。
この範囲に置きたいのは、茶碗や汁椀、普段使う皿、コップ、カトラリー、よく使う保存容器などです。
床から700mmより下には、飲料や食品のストック、重さのある大皿など。1,500mmより上には、軽い保存容器や季節ごとに使う物などを置くと、出し入れの負担を抑えられます。
ところが、カップボードでは使いやすい高さの多くを、電子レンジや炊飯器などの家電が使います。
カップボードの幅は十分あるのに、毎日使う食器が低い引き出しや高い棚へ追いやられてしまうことがあるのは、そのためです。
カップボードを選ぶとき、最初に見たいのは収納量ではありません。
床から約700〜1,500mmの範囲を、何に使うのか。
そこから考えると、必要な引き出しや開き扉、吊戸棚の組み合わせが見えてきます。
カップボードの奥行きや高さ、家電との納まりについては、「カップボードの奥行きと高さはどう決める?|家電から考える収納計画」で詳しくお話ししています。
最初に決めたいのは、扉ではなく入れる物
ショールームでは、引き出しの段数や扉の形から選び始めることがあります。
ただ、先に決めたいのは、カップボードへ何を納めるのかです。
普段使う食器。
電子レンジや炊飯器、トースターなどの家電。
食品や飲料のストック。
ごみ箱。
来客時や季節ごとに使う物。
これらをすべて同じ取り出しやすさで収納する必要はありません。
毎日使う物はゴールデンゾーンへ集め、重い物は低い位置へ。軽くて使用頻度の低い物は、高い位置へ移します。
この順番で中身を振り分けてから、引き出しや開き扉を選んだほうが、使いやすいカップボードになります。
毎日使う食器は、浅い引き出しが使いやすい
カップボードの引き出しは、中身を手前まで動かせます。
普段使う茶碗や皿、コップを入れておけば、引き出したときに全体を上から見渡せます。奥にある食器を取るために、手前の物を動かす必要もありません。
特に使いやすいのは、カウンターのすぐ下にある浅い引き出しです。
床から約700〜1,000mmの範囲へ納まりやすく、ゴールデンゾーンのなかで日常使いの食器を収納できます。
一段目にはカトラリーや小皿。
二段目には茶碗や汁椀、普段使う皿。
このように、使う頻度や食器の高さに合わせて分けると、引き出しのなかで物が重なりにくくなります。
ただし、食器を詰め込みすぎると引き出しが重くなります。入れたい食器の量だけでなく、引き出しの耐荷重も確認しておきたいところです。
深い引き出しは、何を入れるか決めておく
カップボードの下段には、深い引き出しが使われることがあります。
高さのある食品ストックや飲料、大きな保存容器などを納めやすい収納です。
一方、小さな物をそのまま入れると、引き出しの上部が余ります。物を重ねれば、下にある物を取り出すたびに上の物を動かさなければなりません。
深い引き出しには、
- ペットボトルや缶飲料
- 米や乾麺などの食品ストック
- 大きな保存容器
- 使用頻度の低い調理器具
など、深さを使える物を入れると収納を生かしやすくなります。
毎日使う小皿やカトラリーを入れるなら、浅い引き出しのほうが向いています。
深い引き出しを増やす前に、そこへ立てて入れたい物があるかを考えてみてください。
入る量は、開き扉のほうが多い
同じ大きさのキャビネットなら、引き出しより開き扉のほうが内部を広く使えることがあります。
引き出しにはレールや側板が必要ですが、開き扉は扉の内側を一つの空間として使えるためです。棚板を動かせるタイプなら、入れる物に合わせて高さも変えられます。
高さのある収納ケースや大きな箱、使用頻度の低い家電などを納める場合は、開き扉の良さを生かせます。
ただし、入る量が多いことと、取り出しやすいことは別です。
低い位置の開き扉では、体をかがめて奥へ手を伸ばします。手前へ物を並べるほど、奥に何があるのか分かりにくくなります。
開き扉には、奥まで頻繁に取り出す必要がない物や、収納ケースごと手前へ出せる物を入れると使いやすくなります。
トール収納は、中央を日常使いにする
床から天井近くまで使えるトール収納は、食器や食品ストックをまとめやすい形です。
ただし、収納量が増えても、すべての棚が同じように使いやすいわけではありません。
床から約700〜1,500mmの中央部分には、普段使う食器や食品、よく使う保存容器を置きます。
下段には、飲料や米などの重い物。
上段には、軽くて使用頻度の低い物。
高さごとの役割を分けておくと、収納の上から下まで無理なく使えます。
使用頻度が低くても、重い来客用の大皿を最上段へ置くのは避けたいところです。重い物は、持ち上げる距離の短い下段へ納めたほうが安全に取り出せます。
家電収納とごみ箱も、カップボードの一部
電子レンジや炊飯器、トースターを並べる場所は、収納ではないように見えるかもしれません。
しかし、家電が使っているのも、床から約700〜1,500mmの使いやすい高さです。
カウンターの大半を家電が占めれば、配膳や一時置きに使える場所が減ります。引き出しを設けられる幅も小さくなり、普段使う食器の収納場所が不足することがあります。
ごみ箱をカップボードの下へ納める場合も、その分だけ扉や引き出しは減ります。
収納量だけを見ると不利ですが、通路へごみ箱が出ないことや、調理中に使いやすい場所へ置けることには意味があります。
家電やごみ箱を余った場所へ置くのではなく、最初からカップボードの構成へ含めて考えることが大切です。
吊戸棚は、取り付ける高さで使い方が変わる
吊戸棚は、高い場所にあるから日常使いできないとは限りません。
下端を床から約1,450〜1,500mmに設定できれば、使う人の身長にもよりますが、最下段は手を伸ばして取り出しやすい高さになります。
最下段の手前には、普段使うコップや小皿、保存容器などを置けます。
その上の棚には、軽い保存容器や季節ごとに使う物、使用頻度の低い物を納めます。
吊戸棚の上段まで、無理に日常使いする必要はありません。
一方、吊戸棚を低くすると、カウンターとの間が狭くなります。背の高い家電が置けなかったり、作業中に圧迫感を覚えたりすることもあります。
収納量だけで高さを決めるのではなく、最下段へ手が届くか、下に置く家電とぶつからないかを一緒に確認したいところです。
ショールームでは、片付ける動きまで試してみる
ショールームでは、扉の色やカウンターの見た目へ目が向きやすくなります。
収納を見るときは、食器を片付ける動きまで試してみてください。
引き出しを最後まで開ける。
皿を取り出す姿勢をとる。
開き扉の奥へ手を伸ばす。
吊戸棚の最下段と上段へ手を伸ばす。
家電を置いたつもりで、カウンターに残る広さを見る。
こうして体を動かすと、図面やカタログだけでは分からなかった高さの違いに気づけます。
可能であれば、今使っている食器や家電の寸法も測っておきます。
展示されている収納の仕様と、見積もりに入っている商品が同じかも確認しておきたいところです。
カップボードは、しまう物を決めてから選ぶ
カップボードは、引き出しが多ければ使いやすくなるわけではありません。
入る量を優先するなら、開き扉が合う場所もあります。毎日使う食器なら、奥まで見渡せる浅い引き出しが便利です。
吊戸棚も、下端の高さを調整すれば、最下段を日常使いできます。
大切なのは、扉の形を先に選ぶことではありません。
床から約700〜1,500mmのゴールデンゾーンへ、毎日使う物を納めること。
そのうえで、低い場所には重い物、高い場所には軽くて使用頻度の低い物を振り分けます。
何を、どの高さから、どのくらいの頻度で取り出すのか。
そこまで考えておくと、自分たちに必要なカップボードの形が見つけやすくなります。
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カップボードの収納を考えると、洗い終わった食器をどこへ戻すのかも気になってきます。
食洗機が深型か浅型かによって、洗える食器の量だけでなく、キッチン本体に残る収納の大きさも変わります。
家族の人数だけで決めると、鍋や大皿が入らなかったり、収納を減らしすぎたりするかもしれません。
次は、「食洗機はどう選ぶ?|浅型・深型・フロントオープンの違い」へ進みます。