浴室に窓があれば、入浴後に開けて自然換気ができます。昼間は外の明るさも入り、窓のない浴室より開放的に感じる人もいるでしょう。
一方、リフォームの打ち合わせでは、
「寒いので、窓をなくしたい。」
「窓枠の掃除が大変だから、壁にしてしまいたい。」
と相談されることもあります。
窓が必要かどうかは、人によって違います。自然換気や明るさを残したい人もいれば、寒さ、結露、掃除、外からの視線を減らしたい人もいます。
ただし、窓をなくす方法は、戸建てとマンションで同じではありません。外から見える窓を残したまま、浴室側だけ塞ぐ方法もありますが、将来の点検や修繕まで考える必要があります。
今日は、浴室の窓を残す、性能を高める、小さくする、なくす。それぞれの違いを見ていきます。
浴室全体の大きさがまだ決まっていない場合は、浴室のサイズはどう選ぶ?|1216・1317・1418・1616の違いから確認してみてください。
浴室の窓には、自然換気と採光の良さがある
窓を残す良さは、外の空気を直接入れられることです。
入浴していない時間に窓を開ければ、電気を使わずに空気を入れ替えられます。昼間に自然光が入るため、照明をつけなくても浴室内を見やすく、閉塞感を抑えられることもあります。
晴れた日に窓を開ける習慣がある。朝や昼に入浴することが多い。窓から入る明るさが気に入っている。
このような家庭では、窓を残す良さを感じやすいと思います。
ただ、窓があってもほとんど開けていない家庭もあります。
道路や隣家からの視線が気になる。防犯上、開けたままにできない。雨や花粉、虫が入るため、結局は換気扇だけを使っている。
窓があることと、日常的に窓を使えていることは別です。まずは今の浴室で、いつ窓を開けているかを思い出してみます。
換気扇を使うときは、窓を閉める
窓がなくても、浴室の湿気は換気扇で排出できます。
入浴後に換気扇を使う場合、窓を開けたほうが効率よく乾くとは限りません。
一般的なユニットバスは、浴室ドアの換気口から空気を取り入れ、天井の換気扇から排出する流れをつくります。窓を開けると、窓から入った空気が換気扇の近くを通るだけになり、洗い場や床付近の湿気が残ることがあります。
TOTOも、浴室の空気を効率よく排出するため、換気運転中は窓を閉め、ドアの空気取入口を確保するよう案内しています。
自然換気をするときは窓を開ける。換気扇で計画的に空気を動かすときは、窓を閉める。
同じ「換気」でも、使い方が違います。
窓をなくす場合は、換気扇が浴室の湿気を外へ出す役目を担います。換気扇の運転時間だけでなく、ドアの換気口が塞がっていないか、換気扇のフィルターにほこりがたまっていないかも見ておきたいところです。
窓があると、寒さと掃除の場所も増える
浴室の窓は、外の冷たさが伝わりやすい場所です。
特に、古いアルミサッシと一枚ガラスの組み合わせでは、冬になるとガラスや枠が冷えます。暖かい浴室の空気が冷たい窓へ触れると結露が生まれ、窓枠やゴム部分へ水が残ります。
窓のレール、サッシの隅、窓まわりのシーリング。浴室の壁だけなら拭きやすいところへ、細かな掃除場所が増えることになります。
プライバシーも気になるところです。
型板ガラスやすりガラスのように、外から見えにくいガラスでも、夜に浴室の照明をつけると人影が分かることがあります。窓の位置が低い、道路や隣家に近い、一階で人が近づけるといった条件では、窓を開けて換気すること自体が難しいかもしれません。
窓を残すか考えるときは、自然換気の便利さだけでなく、冬の寒さ、結露、掃除、視線、防犯まで一緒に見ておきたいところです。
マンションでは、窓をなくす工事は基本的にできない
ほとんどのマンションでは、窓枠と窓ガラスが共用部分です。
自分の住戸に付いている窓でも、区分所有者の判断で撤去したり、小さくしたりすることは基本的にできません。
窓は室内に面していますが、建物の外観や防水、断熱などにも関わる部分です。浴室をリフォームするからといって、自分たちの工事だけで形を変えられるものではありません。
マンションで「浴室の窓をなくしたい」と考えた場合、できるのは、外窓には手を加えず、新しいユニットバスには窓開口を設けない方法です。
外から見ると今までの窓が残り、浴室の中から見ると一枚の壁になっている状態です。
この方法なら、浴室側から窓枠が見えなくなります。外からの冷気を感じにくくなり、窓まわりの掃除や視線も気にならなくなるでしょう。
ただし、見えなくなっただけで、外窓は壁の向こうに残っています。
将来、窓の交換や点検が必要になっても、一度塞いでしまうと室内側へ簡単にアクセスすることはできません。ユニットバスの壁や周辺を解体し、工事後に復旧しなければならず、窓だけの交換では済まない可能性があります。
浴室側から塞ぐ前に、管理組合へ確認し、必要な申請と許可を済ませます。そのうえで、今後の大規模修繕に窓の交換が含まれていないかも確認しておきたいところです。
許可が下りたとしても、将来の窓交換に伴う浴室側の解体や復旧費用は、区分所有者の負担になる可能性があります。
マンションで窓を塞ぐなら、管理組合の許可と修繕計画を確認し、将来の窓交換に伴う浴室側の解体・復旧費用が自己負担になる可能性まで理解したうえで判断することが大切です。
戸建てでも、窓を残して内側だけ塞ぐことはできる
戸建てでも、外窓をそのまま残し、ユニットバス側だけ壁にする方法は考えられます。
外壁を触る範囲が小さいため、工事を抑えやすい方法ではあります。
一方、浴室側から窓が見えなくなると、窓まわりで起きた変化にも気づきにくくなります。
外窓に結露が発生している。窓まわりから雨水が入っている。木造住宅では、下地や柱に腐食やシロアリ被害が出ている。
こうした問題が起きても、手前にユニットバスの壁があるため、目で見たり手を入れたりできません。異変が分かってから調べようとしても、点検するために浴室の壁を外す工事が必要になることがあります。
外窓を残して塞ぐなら、少なくとも工事前に、窓まわりの劣化や雨漏り跡を確認しておきます。
ただし、その時点で問題がなくても、塞いだあとは簡単に点検できません。戸建てでは、次のように外窓を撤去し、外壁側まで直す方法を基本に考えたほうがよいと思います。
戸建てで窓をなくすなら、外壁側まで直す方法が基本
戸建てで窓を完全になくすなら、外窓を撤去し、開口部へ下地と断熱材を入れ、防水層と外壁をつなぎ直す方法があります。
窓を小さくする場合も、考え方は同じです。小さな窓へ交換し、余った開口部を壁としてつくり直します。
外壁まで工事するため、浴室側だけ塞ぐ方法より工事範囲は広がります。それでも、外から見たときに窓だけが残らず、断熱材や防水の状態も確認しながら納められます。
私なら、戸建てで窓をなくす、または小さくするのであれば、こちらを基本に考えます。
見えなくした窓を壁の中へ残すより、将来の雨漏りや点検まで含めて整理しやすいからです。
ただし、外壁材の種類や築年数によっては、既存と同じ色や柄を用意できません。窓をなくした部分だけ補修跡が目立つこともあるため、外壁塗装や張り替えの時期と合わせる方法もあります。
窓を残すなら、内窓やガラス交換で改善できる
窓を開けて自然換気できることや、窓から入る明るさは残したい。それでも、寒さや結露、外からの視線は気になる。
このような場合は、窓を塞ぐのではなく、内窓やガラス交換で不満を減らせることがあります。
一つは、今の窓の内側へ浴室用の内窓を付ける方法です。
外窓と内窓の間に空気層ができ、室内側には熱を伝えにくい樹脂枠を使うため、外の冷たさが浴室へ伝わりにくくなります。室内側の結露も抑えやすく、ガラスを見えにくい仕様にすれば、プライバシー対策にもなります。
LIXILにも、ユニットバスと在来浴室へ後付けできる「インプラス浴室仕様」があります。
内窓を付けると、窓を開けるたびに二枚操作することになります。サッシとガラスも増えるため、掃除する箇所をできるだけ減らしたい人には、手間が増えたように感じるかもしれません。
もう一つは、ガラスを交換する方法です。
見えにくいガラスへ交換すれば、窓の明るさを残しながら外からの視線を抑えられます。断熱性能のあるガラスを選べる場合もありますが、既存のアルミサッシは残るため、窓全体の寒さがすべて解消するとは限りません。
一般的には、ガラスだけを交換するより、空気層と樹脂枠を追加できる内窓のほうが、窓全体の断熱性を改善しやすくなります。ただし、選ぶガラスや既存サッシ、取付条件によって効果は変わります。
マンションでは、ガラスも共用部分になっていることがほとんどです。自分の判断では交換できないため、管理組合へ確認します。
残すかなくすかは、今の窓の使い方から考える
浴室の窓には、自然換気ができ、外の明るさを取り入れられる良さがあります。
一方、冬の寒さ、結露、掃除、プライバシー、防犯が負担になることもあります。
迷ったときは、今の窓について考えてみます。
- 入浴後、実際に窓を開けているか
- 窓から入る明るさを残したいか
- 冬に窓の近くで寒さを感じるか
- 結露や窓枠の掃除が負担になっているか
- 外からの視線や防犯が気になるか
普段から窓を開けて換気している場合や、窓から入る明るさを残したい場合は、内窓などで寒さや視線を抑えながら残す方法があります。
ほとんど開けず、寒さや掃除の負担だけを感じているなら、戸建てでは外壁側から窓をなくしたり、小さくしたりする方法を考えます。
マンションで窓を見えなくしたい場合は、外窓を残したまま浴室側だけ塞ぐことになります。ただし、将来の窓交換が難しくなり、浴室側の解体や復旧が自己負担になる可能性もあります。
大切なのは、窓が必要か不要かを一般論だけで決めることではありません。
自然換気、採光、寒さ、掃除、プライバシー、将来の修繕。自分たちが残したいものと、減らしたい負担を並べて考えることが大切です。
それが、浴室の窓をどうするか決めるための基本だと思います。
次の記事
浴室の窓をどうするか決まったら、次は浴槽の形を考えます。
足を伸ばして入りたいのか。肩まで深くつかりたいのか。子どもと一緒に入るのか。浴槽の形が変わると、入浴姿勢や必要なお湯の量も変わります。