現地調査は「解体後」を想像する仕事です。
リフォームの見積もりを依頼すると、担当者が現地調査に伺います。
部屋の寸法を測ったり、写真を撮ったり。
そんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
でも、私が本当に見ているのは、今見えている景色ではありません。
「この家を解体したら、どうなっているだろう。」
そんなことを考えながら現地調査をしています。
リフォームは、完成している家に手を加える工事です。
壁の中や床の下など、実際に解体してみなければ分からないことも少なくありません。
だから現地調査は、解体後の状況をできるだけ正確に想像するための時間だと私は考えています。
寸法を測るだけなら、誰でもできます。
現地調査では、
部屋の寸法や天井の高さ、床の段差、梁の位置、仕上材、分電盤などを確認します。
これらは、現地調査をする以上、できて当然の大切な仕事です。
私が「良い現地調査だな」と感じるのは、その先です。
本当に大切な情報は、ひと手間かけないと見えない場所に隠れていることがあります。
例えば、
収納の中。
床下収納。
天井点検口。
畳の下。
バルコニー。
特に収納の中は、お客様にとってプライベートな空間です。
だからこそ、「少し拝見してもよろしいでしょうか。」と一声かける配慮も必要になります。
でも、そのひと手間で、
配管の位置が分かったり、
梁が見つかったり、
警報設備や配線が確認できたり、
シロアリの痕跡や雨漏りの跡が見つかったりすることがあります。
こうした情報は、工事方法やプラン、費用にも影響します。
現地調査で分かった二つのこと
以前、マンションのリフォームを担当したときのことです。
お客様は、
「この壁を取りたい。」
と希望されていました。
現地で見た限りでは判断ができませんでした。
そこで管理人室に保管されていた竣工図面を確認したところ、その壁は建物を支える躯体壁だったのです。
現地だけを見て判断していたら、お客様に間違った案内をしていたかもしれません。
竣工図面まで確認することも、現地調査の大切な仕事だと改めて感じました。
別の現場では、床下点検口から床下を確認しました。
すると、シロアリの蟻道が見つかりました。
そのまま工事を始めていたら、途中で工事を止め、シロアリ調査や駆除の相談をすることになっていたと思います。
今回は現地調査の段階で確認できたため、最初の見積もりに必要な費用を反映することができました。
お客様にとっても、工事が始まってから突然追加費用の話をされるより、最初から分かっていた方が安心できたはずです。
「見えないもの」を減らすために
現地調査では、できるだけ多くの写真を撮ります。
現場を記録するためでもありますが、それ以上に、あいまいな見積もりを防ぐためです。
会社に戻ってから、
「ここはどうなっていたかな。」
と確認できる情報が多いほど、見積もりの精度は上がります。
キッチンやお風呂では、メーカーや製造年月を確認することもあります。
処分方法が変わったり、アスベスト調査が必要になる場合もあり、工事費用に影響することがあるからです。
住みながらのリフォームでは、改めてお話を伺うこともあります。
現地に立って初めて、
「そういえば、ここも気になっていました。」
と思い出されるお客様も少なくありません。
現地調査は、家を見る時間であると同時に、お客様の思いを聞く時間でもあります。
まとめ
現地調査では、確認できるところは、できる限り確認します。
もちろん、壁の中や床下など、解体して初めて分かることもあります。
そのため、図面や見積書から「解体後判断」という言葉がなくなることはありません。
それでも、見えない部分を少しでも想像し、その差を埋めようとすることはできます。
私は、その積み重ねが良い現地調査につながると考えています。
現地調査に立ち会う機会があれば、担当者が何を見ているのかだけでなく、
「なぜ、そこを確認しているんだろう。」
そんな視点で見てみてください。
気になったことがあれば、ぜひ質問してみるのもおすすめです。
担当者の考え方や経験が分かると、その人の仕事への向き合い方も見えてくるはずです。
そうして現地調査を見てみると、
「現地調査って、ただ寸法を測る時間じゃなかったんだ。」
きっと、そんな発見があると思います。
家の見え方だけでなく、担当者を見る目も少し変わるかもしれません。