仮住まいが必要だと聞くと、工事そのものより先に、二度の引っ越しや慣れない場所での生活が頭へ浮かぶかもしれません。
どこに住むのか。荷物はどうするのか。いつまで借りればよいのか。考えることが多く、何から決めればよいか分からなくなる方もいます。
ただ、すべてを一度に決める必要はありません。
まず工事期間を確認し、その次に仮住まいを探し、最後に荷物を整理する。順番に考えていけば、準備することは少しずつ見えてきます。
また、現在住んでいない家をリフォームする場合も、荷物や鍵、電気、水道など、工事前に確認しておきたいことがあります。
家を空けて工事をするときに大切なのは、住む場所だけでなく、荷物やライフライン、鍵まで含めて準備しておくことです。
今日は、仮住まいを伴うリフォームと、空き家を工事するときの準備についてお話しします。
工事中も自宅で暮らす予定の方は、007|リフォーム工事前にやること①から確認してみてください。
まず、本当に仮住まいが必要か確認する
大きなリフォームをするからといって、必ず家を空けなければならないわけではありません。
工事をする場所と生活する場所を分けられるなら、自宅で暮らしながら進められる場合もあります。一方で、水まわりをまとめて使えなくなる工事や、家全体の床や壁を直す工事、間取りを大きく変更する工事では、仮住まいをしたほうが安全で負担も少なくなることがあります。
最初に施工会社へ確認したいのは、次のようなことです。
- 仮住まいが必要な工事なのか
- 家を空ける必要がある期間
- 自宅で暮らす場合に使えなくなる設備
- 工事中に立ち入れる部屋
- 荷物を残せる場所
- 工事の途中から自宅へ戻れる可能性
「工事中も何とか暮らせる」と「無理なく暮らせる」は、同じではありません。
キッチンを使えない期間が長い。お風呂だけでなく洗面台も使えない。寝室の近くで解体工事が続く。このような状態では、生活できたとしても、毎日の負担は大きくなります。
反対に、工事範囲が一部屋だけで、生活する場所と動線を分けられるなら、仮住まいを用意しなくてもよいかもしれません。
仮住まいには家賃や引っ越し費用がかかりますから、施工会社と生活への影響を具体的に確認したうえで決めましょう。
仮住まいは、場所より先に期間を確認する
仮住まいを探すとき、最初に気になるのは場所や家賃だと思います。
ただ、その前に確認したいのが、いつからいつまで家を空ける必要があるのかです。
工事期間が一週間なのか、三か月なのかによって、選べる仮住まいは変わります。
短期間ならホテルやウィークリーマンション。数か月にわたるなら、マンスリーマンションや短期契約のできる賃貸住宅。実家や親族の家で暮らす方法もあります。
施工会社には、工事の着工日と完成予定日だけでなく、
「いつまでに家を空ければよいですか。」
「完成予定日の翌日から、生活できますか。」
と聞いてみてください。
工事が完成しても、その日のうちにすべての荷物を戻せるとは限りません。完成確認や清掃、設備の説明、手直しなどが残る場合もあります。
また、リフォームでは、解体後に追加工事が必要になったり、商品の納期や手直しによって、予定していた工期が延びたりすることがあります。
そのため、仮住まいの契約は、工事予定と同じ日数だけで考えず、少し余裕を持たせておくと安心です。
延長できる物件なのか。延長する場合は、いつまでに申し出る必要があるのか。追加料金はいくらかかるのか。
契約する前に、ここまで確認しておきましょう。
仮住まいは、工事の完成予定日だけでなく、実際に生活を戻せる日まで考えて借りることが大切です。
家族の生活を基準に、仮住まいを選ぶ
仮住まいは一時的な住まいですが、そこで普段の生活を続けることに変わりはありません。
工事期間が長くなるほど、家賃の安さや自宅からの距離だけでなく、家族の暮らしやすさも大切になります。
確認しておきたいのは、たとえば次のようなことです。
- 通勤や通学に無理がないか
- 子どもの送迎を続けられるか
- 家族の人数に合う広さがあるか
- 家具や家電が備え付けられているか
- 自炊や洗濯ができるか
- 駐車場や駐輪場があるか
- インターネットを使えるか
- ペットと一緒に暮らせるか
- 工事中の家へ行きやすいか
短期間だからと、家族全員で狭い部屋へ移ると、生活の変化が想像以上の負担になることがあります。
一方で、数週間ほどであれば、少し不便でも家電付きの物件を選び、運ぶ荷物を減らすほうが楽な場合もあります。
小さな子どもがいる家庭、在宅勤務をする方がいる家庭、ペットと暮らしている家庭では、必要な条件も変わります。
すべての希望を満たす物件を探すのは難しいかもしれません。その場合は、
「これだけは外せない。」
という条件を、家族で先に決めておくと探しやすくなります。
仮住まいでの生活は、いつもの暮らしとは少し違います。普段は歩かない道を通ったり、近所のお店を見つけたりすることもあるでしょう。
大変な準備ではありますが、無理のない範囲で、期間限定の暮らしとして楽しめる余白も残しておけるとよいと思います。
荷物は、四つに分けて考える
仮住まいが決まったら、次は荷物の整理です。
家にあるものをすべて仮住まいへ運ぼうとすると、引っ越しの荷物も費用も増えてしまいます。反対に、必要なものまで預けてしまうと、仮住まいで買い直すことになります。
荷物は、次の四つに分けると考えやすくなります。
- 仮住まいへ持っていくもの
- トランクルームなどへ預けるもの
- 工事中の家へ残すもの
- 処分するもの
仮住まいへ持っていくのは、工事期間中に実際に使うものです。
季節の衣類、仕事や学校で使うもの、薬、洗面用品、最低限の調理道具など、普段の生活を思い浮かべながら選びます。
しばらく使わない家具や家電、季節外のものは、トランクルームや引っ越し会社の一時保管サービスを利用する方法があります。保管料だけでなく、搬入や搬出にかかる費用、預けられない品物も確認しておきましょう。
リフォームを機に、長く使っていないものを整理する方もいます。
ただ、工事や引っ越しの準備だけでも時間がかかります。家中のものを完璧に片付けようとすると、それだけで疲れてしまいます。
すべてを一度に見直すのではなく、明らかに使っていないものから整理するくらいでも十分です。
家へ残す荷物は、施工会社と置き場所を決める
工事をしない部屋や収納へ、家具や荷物を残せることがあります。
ただし、空いている場所へ自分たちの判断でまとめておけばよいとは限りません。
工事では、職人が資材を運び、工具を置き、室内を移動します。工事範囲の外に見える場所でも、搬入経路や作業場所として使うことがあります。
荷物を残したことで作業ができなくなれば、工事前に移動し直さなければなりません。施工会社へ移動を依頼する場合は、別途費用がかかることもあります。
事前に、
「この部屋へ荷物をまとめても大丈夫ですか。」
「家具を残せる場所はありますか。」
「どのくらい空けておけば工事できますか。」
と確認しておきましょう。
残すことになった家具や荷物には、ほこりが入らないようにカバーを掛ける方法があります。ただし、養生を誰が行うのか、その費用が見積もりに含まれているのかも確認が必要です。
また、貴重品や現金、印鑑、通帳、契約書、身分証明書などは、工事をする家へ残さないようにします。
思い出の品や、壊れたときに元へ戻せないものも、できれば別の場所へ移しておきましょう。
施工会社が注意して工事をしていても、工事中は多くの人や資材が出入りします。
工事に必要のない大切なものは、家の外へ持ち出しておくのが基本です。
空き家では、残置物の範囲を確認する
中古住宅を購入して、入居前にリフォームする場合や、相続した家を工事する場合は、室内に残っているものを確認します。
家具や家電が残っていると、
「工事のときに一緒に処分してもらえるだろう。」
と思うかもしれません。
しかし、リフォームの見積もりに、残置物の撤去や処分まで含まれているとは限りません。
家具、家電、布団、食器、植木鉢などは、工事で出る廃材とは処分方法が異なることがあります。冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコンなど、処分に手続きや費用が必要なものもあります。
何を自分たちで処分し、何を施工会社へ依頼するのか。依頼した場合はいくらかかるのかを、工事前に確認してください。
中古住宅に前の所有者の荷物が残っている場合は、勝手に処分せず、売買契約書の内容を確認し、不動産会社へ相談します。
一度処分したものは戻せません。
所有者が分からないものや、残す約束になっている設備については、工事が始まる前に整理しておくことが大切です。
電気と水道は、止める前に施工会社へ確認する
工事中に家を使わないからといって、電気や水道をすぐに止めないようにしてください。
リフォーム工事では、工具や照明を使うための電気、清掃や施工に使う水が必要です。
契約を止めてしまうと、工事を始められなかったり、施工会社が別の方法を用意するために費用がかかったりすることがあります。
電気、水道、ガスについては、施工会社へ次の内容を確認します。
- 工事中も契約を継続する必要があるか
- どのライフラインを使用するか
- 使用料金を誰が負担するか
- ガスの閉栓や開栓はいつ行うか
- 工事後に点検や立ち会いが必要か
一般的には、工事中に使用した電気や水道の料金を施主が負担することがありますが、会社や契約内容によって扱いは異なります。
ガスを使用する予定がある場合は、開栓や点検が必要かを施工会社とガス会社へ確認してください。
自分たちだけで判断して止めたり開けたりせず、工事工程に合わせて手続きを進めましょう。
工事前の状態を写真に残しておく
工事を始める前に、建具や床、壁、窓、住宅設備などの状態を写真へ残しておくことをおすすめします。
傷や汚れがあった場所を記録しておけば、工事後に見つけた傷が以前からあったものなのか、工事中に付いたものなのかを確認しやすくなります。
施工会社が工事前の写真を撮影することもありますが、施主側でも残しておくと安心です。
写真を撮るときは、傷だけを大きく写すのではなく、どの場所か分かるように部屋全体の写真と近くから撮った写真を残します。
特に、工事範囲の近くにある次のような場所は確認しておきましょう。
- 玄関や廊下
- 搬入経路になる床や壁
- 室内ドアや収納扉
- 窓やサッシ
- 残す予定の家具や設備
- マンションの共用廊下やエレベーター
これは、施工会社のミスを探すための準備ではありません。
工事前の状態をお互いに共有し、完成後の行き違いを減らすための記録です。
中古住宅では、工事前の確認で、雨漏りの跡や配管の不具合、設備の故障などが見つかることがあります。
購入時に聞いていなかった不具合であれば、売主の「契約不適合責任」が関係する可能性があります。ただし、売主が責任を負う範囲や期間は、売買契約の内容によって異なります。
リフォームで手を加えると、購入前からあった不具合なのか、工事によって生じたものなのかを確認しにくくなります。
気になるところを見つけたら、工事を始める前に写真を残し、売買契約書や物件状況報告書を確認したうえで、不動産会社へ早めに相談してください。
中古住宅の不具合は、直してしまう前に確認することが大切です。
鍵の預け方と連絡方法を決めておく
家を空けて工事をする場合は、職人がどのように出入りするのかを決めておきます。
施工会社へ鍵を預けるのか。キーボックスを設置するのか。毎回、施主が開け閉めをするのか。
工事の規模や会社の管理方法によって変わります。
鍵を預ける場合は、
- 誰が鍵を管理するのか
- 職人へどのように受け渡すのか
- 工事時間外はどこで保管するのか
- 複製することがあるのか
- 工事後にいつ返却されるのか
- 紛失した場合はどう対応するのか
を確認しておきたいところです。
自宅の鍵を預けることに不安を感じるのは、自然なことです。管理方法が分からないまま渡すのではなく、説明を受けて納得してから預けましょう。
工事中の鍵を預けるか迷っている方は、リフォーム工事中の鍵は預ける?|現役営業の考えも参考にしてみてください。
工事中の連絡方法も決めておきます。
急ぎの確認が必要になったとき、誰へ連絡が来るのか。電話に出られない場合は、メールやメッセージでもよいのか。家族の誰が最終的な判断をするのか。
連絡が取れず、工事が止まってしまうこともあります。
すぐに答えられない場合でも、
「確認して、今日中に連絡します。」
と返せるようにしておくだけで、現場は進めやすくなります。
引っ越しを、完成予定日の翌日に入れない
工事の完成予定日が決まると、できるだけ早く自宅へ戻りたくなると思います。
仮住まいの家賃もかかりますし、慣れない生活が続けば、なおさら早く戻りたくなるでしょう。
ただ、完成予定日の翌日に引っ越しを入れると、手直しや清掃が必要になったときに、予定を変えられなくなることがあります。
工事が終わったら、まず施主と施工会社で完成状態を確認します。
設備が動くか。選んだ商品が付いているか。傷や汚れがないか。扉や窓が問題なく動くか。
その場で直せることもありますが、部品の取り寄せや職人の再手配が必要になる場合もあります。
すべての手直しが終わるまで自宅へ戻れないわけではありません。それでも、大きな荷物を入れる前のほうが確認や作業をしやすいことがあります。
仮住まいの退去日と引っ越し日は、施工会社と完成確認の日程を相談してから決めましょう。
完成予定日は、工事が終わる目安です。暮らしを戻す日は、完成確認まで含めて考える必要があります。
仮住まいの準備は、暮らしを止めないためにある
仮住まいを伴うリフォームでは、工事が始まる前からやることがたくさんあります。
仮住まいを探し、二度の引っ越しを手配し、家中の荷物を整理する。仕事や家事を続けながら準備するのは、簡単なことではありません。
だからこそ、すべてを自分たちだけで判断しようとせず、施工会社や不動産会社、引っ越し会社へ早めに確認してみてください。
まず、本当に仮住まいが必要なのか。
いつからいつまで家を空けるのか。
どの荷物を運び、何を残せるのか。
電気や水道はどうするのか。
鍵を誰が管理し、工事中はどのように連絡を取るのか。
一つずつ決めていけば、準備することは整理できます。
これからの工事で起こりやすい後悔も知っておきたい方は、リフォームでよくある失敗20選を参考にしてみてください。
仮住まいは、工事のために普段の生活を離れる時間です。
ただ、その準備は工事を進めるためだけではありません。
工事中も家族の暮らしをできるだけ崩さず、新しくなった家へ落ち着いて戻るための準備です。
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工事前の準備が整ったら、いよいよ工事が始まります。
現場へ見に行ってもよいのか。どのくらいの頻度で確認すればよいのか。気になることを見つけたときは、誰へ伝えればよいのか。
工事中だからこそ知っておきたいことを、次の記事でお話しします。
次は、009|リフォーム工事中に気を付けたいことへ進みます。