古くなった窓を交換したいけれど、外壁や室内の壁まで壊すような工事は避けたい。そんなときに候補になるのが、窓のカバー工法です。
今ある窓枠を残すため、工事範囲を抑えながら、サッシとガラスを新しくできます。
今回は、窓のカバー工法の仕組みと、工事前に確認しておきたい見た目や使い勝手の変化を整理します。
今ある窓枠に、新しい窓枠を重ねる工法
カバー工法では、今使っているガラス戸を外し、壁に固定されている古い窓枠は残します。その内側へ新しい窓枠を取り付け、古い枠をカバー材で覆います。
窓枠を壁から取り外す工事では、外壁や室内の壁、その周囲の防水まで触る必要が出てきます。カバー工法はその範囲を広げずに済むため、窓一か所ごとの交換にも使いやすい方法です。
LIXILの「リプラス」でも、今ある窓枠の上から新しい窓枠を取り付け、壁を壊さずに交換する工法として案内されています。
ガラス交換とは違い、サッシ枠や戸車、鍵なども新しくなります。窓の動きが重い、閉めても隙間が気になるなど、ガラスだけを替えても直せないときに検討する工事です。
開口が狭くなるのは、新しい枠が内側に入るから
カバー工法でよく聞かれるのが、「窓が小さくなるのか」という点です。
壁にある窓の穴そのものが小さくなるわけではありません。ただし、古い窓枠の内側へ新しい枠を取り付けるため、ガラスが見える面積や、窓を開けたときに通れる幅と高さは今より小さくなります。

どれくらい狭くなるかは、今のサッシの形、新しく取り付ける商品、窓の開き方によって変わります。もともと小さい窓では、数値の差以上に狭く感じることもあります。
採寸では窓全体の寸法だけでなく、工事後に実際どれくらい狭くなるのか確認しておくと良いでしょう。
枠が太く見えることもある
古い枠の内側へ新しい枠を入れ、その周囲をカバー材で隠すため、室内から見える枠は交換前より太くなりやすい部分です。
カタログでは窓だけをきれいに切り取った写真が多く、今の壁や窓台と組み合わせた見え方までは分かりません。特に、細いアルミ枠から断熱性の高い窓へ替える場合は、枠の存在感が変わりやすくなります。
色を壁や窓台に合わせると納まりやすい一方で、同じ白や木目でも、周囲の内装と完全に同じ色になるとは限りません。自宅の窓へ付けたときの枠幅と色を、図面やサンプルで見てから決めます。
カバー工法では、ガラスの性能だけでなく、工事後に見える枠の太さまで見ておくことが大切です。
掃き出し窓は、下枠の高さも確認する
床まである掃き出し窓では、新しい下枠を重ねることで、室内側に段差ができやすくなります。
わずかな高さでも、毎日バルコニーへ出入りすると足の運びは変わります。洗濯物を持って通る窓や、小さな子ども、高齢の家族が使う窓では、交換後の下枠が床からどれくらい上がるのかを見ておきます。
商品によっては段差を抑えた納まりや、室内側に緩やかな部材を付ける方法もあります。ただし、どの窓にも同じように使えるわけではありません。現在の床と窓枠の位置を測り、完成後の断面図を見せてもらうと判断しやすくなります。
窓の開き方を変えられることもある
カバー工法では、引き違い窓を新しい引き違い窓へ替えるだけでなく、条件が合えば、開き方の異なる窓へ変更できる商品もあります。
ただし、窓の外に開くタイプは、網戸や面格子、雨戸、シャッターなどに当たらないかを見ておく必要があります。室内側では、ハンドルとカーテンやブラインドとの位置関係も確認が必要です。
開き方を変えるなら、換気のしやすさだけでなく、掃除の仕方や網戸の使い方まで含めて選びます。今と同じ種類の窓へ替える場合も、鍵やハンドルの位置が使いやすいかを見ておきます。
断熱性だけでなく、窓の動きや隙間も見直せる
カバー工法は、ガラスとサッシの両方を新しくする工事です。断熱性の高い枠や複層ガラスを選べば、窓から伝わる寒さや暑さを抑えやすくなります。
古い戸車や鍵、気密材も新しくなるため、窓の開閉や隙間もまとめて見直せます。ただし、結露は室内の湿度や換気にも左右され、音は換気口や壁から入ることもあります。窓を交換すれば、すべて解消するとは限りません。
寒さ、暑さ、窓の動き、隙間のうち、何を改善したいのかを施工会社へ伝え、目的に合うサッシとガラスを選びます。
今の枠の状態によっては施工できない
カバー工法は、残した窓枠を利用して新しい枠を取り付けます。そのため、既存の枠や周囲が大きく傷んでいると、そのままでは施工できません。
雨漏りがある窓では、先に水が入っている原因を確認します。枠の傾きや腐食が大きいときも、カバー工法で表面を隠すだけでは解決しません。
現地調査では寸法だけでなく、窓の動き、枠の変形、周囲の傷みまで見てもらいます。状態によってはカバー工法を使わず、既存枠を撤去する工事が必要です。
建物や窓の条件によって、選べる商品は変わる
カバー工法の商品があっても、すべての窓へ取り付けられるわけではありません。窓の大きさや形、防火上の条件、雨戸やシャッター、面格子との組み合わせによって、選べる商品や納め方が変わります。
今と同じ形の窓へ交換できるのか、開き方を変えられるのかは、現地調査をしてから判断します。商品を先に決めず、現在の窓と周囲の状態に合うものへ候補を絞ります。
なお、マンションでは窓枠や窓ガラスが共用部分として扱われることが多いため、建物の条件に加えて管理規約の確認も必要です。マンションで個人が工事できる範囲や確認の順番は、マンションの窓はリフォームできる?|共用部分・管理規約・内窓で詳しく整理しています。
カバー工法は、交換後の見え方まで確認して選ぶ
窓のカバー工法は、今ある枠を残し、その内側へ新しい窓枠を取り付ける方法です。壁を大きく壊さず、サッシとガラスを一緒に新しくできます。
その一方で、窓の開く部分は少し狭くなり、枠が太く見えたり、下枠に段差ができたりします。変化の程度は、今の窓と選ぶ商品によって異なります。
工事前に確認したいのは、交換できるかどうかだけではありません。完成後にどれくらい開口か残り、どの枠が見え、毎日どう出入りするのかまで見ておきます。
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窓枠まで交換する必要がなく、ガラスの破損や性能だけを見直したいときは、ガラス交換が候補になります。
次は、窓ガラスだけ交換できる?|複層ガラス・Low-E・防犯ガラスの選び方として、ガラスごとの違いと、今のサッシへ入れられるかを整理します。