洗面所リフォームの相談を受けるとき、私は最初から洗面台のカタログを開くわけではありません。
先に聞くのは、今の洗面所で誰が、いつ、何をしているのかです。
顔を洗い、歯を磨き、髪を整える。服を脱いで入浴し、洗濯物を分けて洗う。
洗面所は、それほど広くない空間のなかに、身支度、脱衣、洗濯、収納など、いくつもの役割が集まっています。
洗面台だけを新しくしても、朝の混雑や洗濯物の置き場といった不便は残るかもしれません。
反対に、洗面台の大きさを変えなくても、収納の取り方や洗濯かごの置き場を見直すことで使いやすくなる場合があります。
今日は、洗面所リフォームの相談で、私が最初に確認していることを順番にお話しします。
洗面台だけを替えるのか、洗面所全体を見直すのか
最初に確認するのは、どこまで変えたいのかです。
- 洗面台だけを新しくしたい
- 壁紙や床も張り替えたい
- 洗濯機の位置を変えたい
- 収納を増やしたい
- 浴室と洗面所をまとめて見直したい
同じ洗面所リフォームでも、考える範囲はそれぞれ違います。
洗面台だけの交換であれば、今の給排水管の位置を確認し、無理なく納まる商品を検討するのが基本です。
壁紙や床も張り替えるなら、洗面台だけでなく、洗面所全体の使い方と仕上がりを見ながら考えます。壁紙を仕上げる前であれば、ドライヤーや電動歯ブラシを使う場所に合わせて、コンセントの位置も一緒に見直せます。
浴室もリフォームする場合は、浴室ドアの位置や洗面所側の壁、床の納まりが変わることがあります。
「洗面台が古くなったから交換する」と考えていても、話を聞いていくと、困っている原因が洗面台以外にあることも少なくありません。
まずは、設備の交換と、部屋全体の見直しを分けて考えます。
洗面所で何をしているか
洗面所という名前でも、使い方は家庭によって違います。
洗面台を洗顔や歯磨きに使う人もいれば、化粧や髪のセットまで済ませる人もいます。座って身支度をしたい人や、小さな子どもの手洗い、汚れた衣類の予洗いに使う家庭もあります。
洗面所が脱衣室を兼ねていれば、着替えやタオルを置く場所が必要です。
また、洗面所には、洗剤、洗濯ネット、洗濯かご、ハンガーなど、洗濯に使う物も集まりやすくなります。
私は打ち合わせのなかで、次のような使い方を確認します。
- 洗顔や歯磨き以外に何をするか
- 化粧や髪のセットをするか
- 洗面ボウルで衣類や靴を洗うことがあるか
- 入浴前後の着替えをどこへ置くか
- 洗濯物をどこで分けるか
- 洗った物をどこへ運ぶか
洗面所で行うことが分かると、必要な洗面ボウルの大きさ、鏡、収納、コンセント、作業場所が見えてきます。
商品を選ぶ前に、まずは毎日の行動を整理します。
誰が、いつ使うのか
次に聞くのは、洗面所を使う人と時間帯です。
朝は、一人ずつ洗面台を使う家庭もあれば、家族が同じ時間に身支度をする家庭もあります。
一人が歯を磨いている横で、もう一人が髪を整える。誰かが洗面台を使っている間に、別の人が洗濯機を回す。
洗面台の幅が足りないというより、鏡の前へ一人しか立てないことや、物を一時的に置く場所がないことが不便なのかもしれません。
夜は、入浴する人と洗面台を使う人が重なることがあります。
誰かが服を脱いでいると、ほかの家族が手を洗いに入りにくい。来客に洗面台を使ってもらいたくても、洗濯物や着替えが見えてしまう。
このような使いにくさは、洗面台を大きくするだけでは解決できません。
誰が使うのかに加えて、家族の動きが重なる時間を確認することが大切です。
入浴中に、ほかの家族が洗面台を使いにくくないか
洗面所と脱衣室が一つになっていても、家族の生活時間が重ならなければ、大きな不便はないかもしれません。
一方、誰かが入浴している間は洗面台を使いにくかったり、子どもの成長とともに、脱衣中の出入りが気になったりする家庭もあります。
間取りを変更できる広さや条件がそろっていれば、洗面所と脱衣室を分ける方法も考えられます。
洗面と脱衣を一か所へまとめる間取りには、限られた面積を使いやすく、洗顔から入浴、洗濯までの動きを短くしやすい良さがあります。
ただし、間に壁や建具を設ければ、それぞれの空間は小さくなります。通路や収納へ使える場所が減り、扉が増えることで動きにくくなる場合もあります。
分ければ必ず使いやすくなるわけではありません。
家族が同時に使う場面と、分けたあとに残る広さの両方を見ながら考えます。
洗面所と脱衣室を分ける場合の考え方は、洗面所と脱衣室は分ける?|家族が使いやすい間取りで詳しくお話しします。
洗濯をどこまで洗面所で行うのか
洗濯機を洗面所へ置いている家庭では、洗う前と洗ったあとの動きも確認します。
脱いだ衣類をそのまま洗濯機へ入れるのか、洗濯かごへ分けてから洗うのか。洗い終わった物は、ベランダへ運ぶのか、浴室や洗面所で干すのか、それとも乾燥機を使うのかを聞きます。
乾いた物を別の部屋でたたむ家庭もあれば、洗面所の作業台でたたみ、そのまま収納したい家庭もあります。
洗濯機の近くだけを見ても、洗濯のしやすさは分かりません。
洗う、干す、たたむ、しまう場所を順番にたどると、何度も行き来している場所や、洗濯物が一時的にたまる場所が分かります。
また、縦型洗濯機とドラム式洗濯機では、ふたや扉の開き方が違います。衣類乾燥機を置く予定があれば、洗濯機の上部も自由には使えません。
今使っている機種だけでなく、近いうちに買い替える予定があるかも聞いておきます。
何を洗面所へ収納したいか
洗面所の収納を考えるときは、「できるだけ多く」ではなく、何を置きたいのかを確認します。
洗面所に集まる物には、次のようなものがあります。
- 歯ブラシ、化粧品、整髪料、ドライヤー
- タオル、下着、パジャマ
- 洗剤、柔軟剤、洗濯ネット、掃除用品
家族の人数や洗濯の仕方によって、必要な収納は変わります。
毎日使う物を高い棚へ入れると、取り出すたびに手を伸ばすことになります。濡れた手で使う物を離れた収納へ入れれば、水滴を落としながら移動するかもしれません。
反対に、詰め替え用品や予備のタオルまで洗面台の近くへ集める必要はないこともあります。
どこで使う物なのか、どのくらいの頻度で取り出すのか、誰が使うのかを確認し、洗面台の中、鏡の裏、壁面収納、洗濯機の上などへ分けていきます。
洗面台本体の収納と、洗面所全体の収納は分けて考えたほうが整理しやすくなります。
洗面台と洗濯機を一緒に並べて考える
洗面台の大きさを決めるときは、洗面台だけの寸法を見ません。
隣に洗濯機があるなら、二つを並べた状態で確認します。
今と同じ幅の洗面台を選んでも、商品の奥行きや引き出しの出幅が変わることがあります。洗面台を広げると、タオル収納や洗濯かごを置いていた場所がなくなるかもしれません。
洗濯機との間に細い隙間が残れば、ほこりや物が入りやすく、掃除もしにくくなります。
確認したいのは、本体の幅だけではありません。
- 洗面台の引き出しや扉を最後まで開けられるか
- 洗濯機のふたや扉を開けられるか
- 洗濯機用の蛇口や排水口に無理なく手が届くか
- 洗濯かごを置いても通れるか
- 浴室や洗面所のドアとぶつからないか
設備を置いたあとの隙間と、人が立つ場所まで図面で見ておきます。
どの家電を、どこで使うのか
洗面台のまわりでは、意外に多くの電気製品を使います。
ドライヤーやヘアアイロン、電動歯ブラシ、電気シェーバーなどです。
洗面所によっては、除湿機、サーキュレーター、暖房器具、アイロンなどを使うこともあります。
コンセントの数が足りても、使いたい場所から離れていれば延長コードが必要になります。収納の中で充電したい物があるなら、扉を閉めた状態で使える位置も考えなければなりません。
二人が同時に身支度をする家庭では、ドライヤーとヘアアイロンを同じ時間に使うことがあります。
何を使うかだけでなく、同時に使う物と、充電したまま置く物を分けて確認します。
水がかかりやすい場所や、コードが通路へ垂れる位置を避けることも必要です。
床や壁に気になる傷みがないか
洗面台を外すと、普段は見えない壁や床が現れます。
- 洗面台の横へ水が入り、壁紙がめくれている
- 洗濯機のまわりに湿気がたまり、カビが出ている
- 床を踏むと、やわらかく感じる
このような状態があれば、表面を張り替えるだけでよいのか、下地まで確認したほうがよいのかを考えます。
洗面所は、水を使い、湿気もたまりやすい場所です。
換気扇が動いていても、収納や洗濯物で空気の流れが止まっていることがあります。室内干しを増やす場合は、物干し金物を付ける場所だけでなく、乾かすための換気や送風も必要です。
見た目を新しくする前に、今ある傷みと、その原因を確認します。
浴室も近いうちにリフォームする予定があるか
洗面所と浴室は、別々の部屋ですが、工事ではつながっています。
浴室を交換すると、洗面所側のドアまわりや壁を補修することがあります。浴室ドアの位置や幅を変えれば、洗面台や洗濯機の配置へ影響するかもしれません。
先に洗面所の内装をきれいにしても、そのあと浴室を工事すると、一部を触り直す場合があります。
数年以内に浴室も見直す予定があるなら、同時に工事をするかどうかとは別に、将来の計画を施工会社へ伝えておくほうが安心です。
また、浴室と洗面所を一緒に工事すると、入浴だけでなく、洗面台や洗濯機を使えない期間も確認する必要があります。
浴室リフォーム中に入浴できない期間は、浴室リフォームは何日かかる?|お風呂へ入れない期間と工事の流れで詳しくお話ししています。
これから使い方が変わる予定はあるか
今の暮らしだけでなく、これから数年の変化も聞きます。
- 子どもが一人で身支度を始める
- 家族の出勤や通学時間が重なる
- 洗濯物の量が増える、または減る
- 立ったままの身支度が負担になり、椅子を使いたくなる
将来のすべてを予測することはできませんが、すでに予定している変化まで無視して設備を決める必要はありません。
一方で、いつ使うか分からない機能を増やしすぎると、今の使いやすさを損なうことがあります。
今困っていることを優先しながら、近い将来に起こりそうな変化へ対応できる余白を残します。
打ち合わせ前に用意しておくと分かりやすいもの
相談する前に、細かな商品を決めておく必要はありません。
次のようなものがあると、今の使い方を伝えやすくなります。
- 洗面所全体が分かる写真
- 洗面台と洗濯機を正面から撮った写真
- 洗面所の入口と浴室ドアが分かる写真
- 洗濯機の品番や本体寸法
- 洗面所へ収納している物の一覧
- 洗濯物を洗ってから収納するまでの流れ
寸法が分かれば参考になりますが、正確に測れなくても構いません。
「朝はここで二人が重なる」「洗濯かごを置くと通りにくい」「タオルを取りに別の部屋へ行っている」など、普段感じている不便のほうが大切です。
打ち合わせでは、その不便を設備や間取りへ置き換えて考えていきます。
洗面所は、洗面台だけを見て決めない
洗面所リフォームでは、新しい洗面台へ目が向きやすくなります。
ただ、毎日の使いやすさを決めるのは、洗面台の形だけではありません。
誰がいつ使うのか、洗面所で何をするのか。洗濯物をどこへ運び、何を収納するのか。入浴する人と洗面台を使う人が重ならないかも確認します。
こうしたことを一つずつ確認すると、自分たちに必要な広さや設備が見えてきます。
大切なのは、最初から商品を絞り込むことではありません。
今の洗面所で行っていることと、困っている場面を整理してから、必要な設備を選ぶことです。
洗面台だけでなく、脱衣、洗濯、収納まで一つの空間として考えると、リフォーム後の暮らしを想像しやすくなります。
次の記事
洗面所で家族の動きが重なり、それが毎日の不便になっている場合は、間取りや広さによって、洗面と脱衣の場所を分ける方法も考えられます。
洗面所と脱衣室を分けると、入浴中でも洗面台を使いやすくなり、来客に生活感のある脱衣室を見せずに済むことがあります。
その一方で、壁や建具を設けると、それぞれの空間は狭くなります。通路や収納の取り方も変わります。
次は、洗面所と脱衣室は分ける?|家族が使いやすい間取りへ進みます。