リフォーム工事が終わると、いよいよ完成確認とお引き渡しです。
長く続いた打ち合わせや工事を終え、新しくなった住まいを見ると、
「ようやく終わった。」
と、ほっとする方も多いと思います。
早く家具を入れたい。新しいキッチンやお風呂を使いたい。そんな気持ちになるのも自然なことです。
ただ、お引き渡しの日には、完成した住まいを見るだけでなく、工事内容や設備の動作、保証書など、確認しておきたいことがあります。
すべてを細かく検査する必要はありません。
大切なのは、打ち合わせで決めた内容になっているかを施工会社と一緒に見て、気になることをその場で共有することです。
今日は、完成確認からお引き渡しまで、どこを見て、何を受け取ればよいのか。現役のリフォーム営業として、最後に確認していただきたいことをお話しします。
工事の完了と、お引き渡しは同じ日とは限らない
工事の予定表に書かれた完了日が、そのままお引き渡しの日になるとは限りません。
工事が終わったあと、施工会社による社内検査を行い、必要な手直しや清掃を済ませてから、施主と一緒に完成した状態を確認する会社もあります。
一般的には、次のような流れで進みます。
- 工事の完了
- 施工会社による確認
- 必要な手直しと清掃
- 施主による完成確認
- 鍵や書類を受け取り、お引き渡し
完成確認とお引き渡しを同じ日に行うこともあれば、別の日に分けることもあります。
そのため、工事が終わる予定日の翌日に引っ越しを入れると、手直しや清掃が間に合わない場合があります。
家具や家電の搬入、仮住まいの退去日は、
「いつから荷物を入れても大丈夫ですか。」
「お引き渡しは、何日になる予定ですか。」
と担当者へ確認してから決めるほうが安心です。
工事が終わる日ではなく、住み始められる日を確認しておくことが大切です。
完成確認は、粗探しをする時間ではない
完成した住まいを施工会社と一緒に確認することを、内覧会や施主検査と呼ぶことがあります。
「細かな傷まで探さないといけないのかな。」
「専門的な施工ミスを、自分で見つけられるかな。」
と構える必要はありません。
施工の良し悪しを、すべて施主が判断するのは難しいことです。多くの会社では、施主が確認する前に、営業担当や現場監督が工事内容や仕上がりを確認しています。
それでも、人の手で行う工事ですから、見落としがまったくないとは限りません。
施工会社が気づいていなかった傷を施主が見つけることもあれば、会社側から、
「ここは、もう少し手直しします。」
と伝えることもあります。
完成確認は、間違いを探して責任を追及する時間ではありません。
施工会社と施主が一緒に仕上がりを確認し、気になることを残さずお引き渡しへ進むための時間です。
最初に、打ち合わせどおりの工事になっているかを見る
完成確認では、傷や汚れを見る前に、まず打ち合わせで決めた内容が反映されているかを確認してください。
図面や見積書、仕様書があれば、持参して照らし合わせます。
たとえば、次のような内容です。
- 工事をする場所と範囲
- 壁や建具の位置
- キッチンや洗面台などの向き
- 棚やカウンターの高さ
- コンセントやスイッチの位置
- 照明器具の種類と取り付け場所
- 壁紙や床材、建具の色
- 工事中に追加、変更した内容
設備は、見た目が似ていても機能や仕様が異なる場合があります。
すべての品番を一つずつ読み上げる必要はありませんが、
「選んだものと違うように見える。」
「打ち合わせでは、こちら側に付ける予定だったと思う。」
と感じたところがあれば、その場で確認してください。
完成後の印象が想像と少し違うことと、打ち合わせと異なるものが施工されていることは別の話です。
まずは、自分たちが決めた内容どおりに完成しているかを確認しましょう。
建具や設備は、実際に動かしてみる
扉や引き出し、住宅設備は、見た目だけでなく実際に動かして確認します。
- 扉や引き戸がスムーズに動くか
- 鍵やラッチが正しく掛かるか
- 収納の引き出しが引っ掛からないか
- 水やお湯が出るか
- 排水が問題なく流れるか
- 水栓や配管まわりから漏れていないか
- 換気扇やレンジフードが動くか
- 照明やスイッチが使えるか
- 食洗機やIHなどの機器へ電源が入るか
少し重く感じる建具や、使い方が分からない設備があっても、すぐに施工不良だと判断する必要はありません。
「これは、このくらいの重さが通常ですか。」
「この設備は、どうやって動かしますか。」
と聞いてみてください。
その場で調整できることもあれば、使い方を知れば解決することもあります。
空き家や中古住宅のリフォームでは、電気やガス、水道が使えず、その日に動作を確認できない設備もあります。その場合は、誰が、いつ確認するのかを決めておきましょう。
傷や汚れは、写真と一緒に残す
工事内容を確認したら、傷や汚れ、仕上げの状態も見ておきます。
- 床や建具に目立つ傷がないか
- 壁紙に汚れやめくれがないか
- 塗装に塗り残しがないか
- シーリング材に切れや隙間がないか
- 設備や収納の内部にごみが残っていないか
- 工事をしていない場所に傷や汚れがないか
照明だけでは分かりにくいところもあるため、できれば明るい時間に確認するのがおすすめです。
ただし、壁紙の継ぎ目や木材の色の違いなど、材料や施工方法によって生じるものもあります。
気になるところを見つけたら、自分で良し悪しを判断せず、
「ここが少し気になるのですが、確認してもらえますか。」
と担当者へ伝えてください。
手直しを行う場合は、写真を撮り、
- どこを手直しするのか
- どのように対応するのか
- いつ対応するのか
を施工会社と共有します。
小さな補修であれば、お引き渡し後の対応になることもあります。大切なのは、すべて終わったように見せることではなく、残っていることと、その後の対応が共有されていることです。
家具や家電を搬入すると、工事中の傷なのか、搬入時に付いたものなのかを判断しにくくなります。荷物を入れる前に、完成した室内の写真も残しておくと安心です。
設備の説明は、よく使うことから聞く
お引き渡しの日には、新しく設置した設備の使い方について説明を受けます。
キッチン、食洗機、レンジフード、浴室、給湯器、トイレ、換気設備。
工事の範囲が広いほど、一度に説明される内容も多くなります。
その場ですべて覚えようとしなくても大丈夫です。
優先して確認したいのは、
- 毎日使う基本的な操作
- 運転を止めないほうがよい設備
- フィルターや排水口の外し方
- 異常が出たときの停止方法
- 水や電気を止める場所
などです。
スマートフォンで操作方法を撮影してよいか、担当者へ聞いてみる方法もあります。
後日分からなくなったときに、設備メーカーと施工会社のどちらへ聞けばよいのかも確認しておきましょう。
引き渡し後に設備の操作で迷ったときの相談先は、設備の使い方が分からないときは誰に聞く?|メーカー・施工会社・営業の違いで整理しています。
鍵と書類、最終金額を確認する
お引き渡しでは、住まいの鍵と、工事に関する書類を受け取ります。
鍵は玄関だけでなく、勝手口や窓、宅配ボックスなども確認します。設備のリモコンやカードがある場合は、それらも揃っているか見ておきましょう。
書類は、工事内容によって異なりますが、次のようなものがあります。
- 住宅設備の保証書
- 取扱説明書
- 施工会社の工事保証書
- 最終の図面や仕様書
- 追加、変更工事を反映した見積書
- 工事中の写真
- メーカーや施工会社の連絡先
すべてが紙で渡されるとは限りません。取扱説明書や工事写真を、データで受け取ることもあります。
その場ですべてを読む必要はありませんが、何を受け取り、後日届くものがあるかは確認してください。
取扱説明書や保証書をどこまで残せばよいか迷ったときは、取扱説明書と保証書は全部残す?リフォーム後の保管方法も参考にしてみてください。
工事中に追加や変更があった場合は、最終的な工事金額も確認します。
追加した工事の内容と金額、すでに支払った金額、残っている支払いが揃っていれば、お引き渡し後の行き違いも減らせます。
引き渡し後の連絡先を聞いておく
お引き渡しを受けたあとも、リフォーム会社との関係が終わるわけではありません。
実際に暮らし始めると、
「扉が少し閉まりにくい。」
「設備の使い方が分からない。」
「壁紙に気になるところが出てきた。」
といったことに気づく場合があります。
そのとき、営業担当へ連絡するのか、アフターサービスの窓口があるのかを確認しておきましょう。工事保証の期間や、定期点検の有無も会社によって異なります。
完成確認で気づかなかったからといって、その後は何も相談できないわけではありません。
気になることを見つけたら、まず写真を撮り、場所と状況が分かるようにして施工会社へ連絡してください。
水漏れや焦げたにおい、設備の異常など、安全に関わる場合は使用を止め、早めに連絡します。
引き渡し後に不具合を見つけたときの連絡方法は、リフォーム後に不具合を見つけたら?|まず連絡すべきことでも詳しくお話ししています。
お引き渡しは、新しい暮らしの始まり
お引き渡しの日は、長く続いたリフォームが一つの区切りを迎える日です。
完成した住まいを見ると、早く新しい暮らしを始めたいという気持ちになると思います。
だからこそ、最後だけは少し時間を取り、施工会社と一緒に確認してみてください。
打ち合わせどおりに完成しているか。
建具や設備は問題なく動くか。
気になる傷や汚れはないか。
手直しが残っているなら、いつ対応するのか。
鍵や書類は揃っているか。
引き渡し後は、どこへ相談すればよいか。
ここまで確認できれば、すべてを自分で検査できなくても大丈夫です。
気になることを伝えるのは、工事へ不満を示すためではありません。施工会社と施主が、同じ完成を確認するために必要なことです。
お引き渡しは、工事を終わらせるための日ではなく、安心して新しい暮らしを始めるための日です。
001から010まで、お疲れさまでした
リフォームを考え始めたところから、会社選びや見積もり、工事中の暮らし、そしてお引き渡しまでを順番にお話ししてきました。
初めてのリフォームでは、分からないことがあって当然です。
すべてを自分たちだけで決めるのではなく、困っていることを伝え、分からないことを聞き、施工会社と一つずつ確認しながら進めていく。
その積み重ねが、納得できるリフォームにつながるのだと思います。
この10記事が、必要なときに戻って確認できる、リフォームの道しるべになればと思います。