「浴乾って、必要ですか?」
私なら、「うちには要りません」と答えます。
夫婦二人の共働きで、洗濯機には乾燥機能があります。窓のないマンションの浴室ですが、特別寒いわけでもありません。
洗濯物を浴室へ干すことも、入浴前に暖房を使うこともないため、必要なのは換気だけです。それなら、普通の換気扇で足ります。
ただ、これはあくまで私の家の話です。
洗濯物を外へ干したくない家庭もあれば、冬の浴室を暖めてから入りたい家庭もあります。高齢の家族がいるなら、入浴前の寒さをやわらげる設備として考えることもあるでしょう。
浴室暖房乾燥機が必要かどうかは、付いている機能の数では決まりません。
まずは「浴乾」で何ができるのかを整理し、自分たちが実際に使う場面があるかを考えてみます。
浴室の寒さそのものが気になっている場合は、お風呂の寒さ対策はどこまで必要?から確認してみてください。
そもそも「浴乾」とは?
浴乾は、「浴室暖房乾燥機」や「浴室換気暖房乾燥機」を短くした呼び方です。
メーカーによって正式な名称は違いますが、よく使われるのは、次の四つの機能です。
- 換気
- 暖房
- 衣類乾燥
- 涼風
一台で四役と聞くと便利そうですが、ここで見ておきたいのは、四つすべてを使うかどうかです。
たとえば、換気しか使わないなら、暖房と乾燥の付いていない換気扇でも役目を果たせます。衣類乾燥を使わず、浴室も寒くない家庭では、せっかく付けても換気ボタンしか押さないかもしれません。
反対に、洗濯物を浴室で乾かし、冬は入浴前に暖房を使うなら、一台を一年中活用できます。
浴乾を選ぶかどうかは、名前ではなく、それぞれの機能を使う回数で考えたほうが分かりやすくなります。
換気|湿った空気を外へ出す
換気は、入浴後の湿った空気を外へ出す機能です。
窓のない浴室には換気が欠かせませんが、窓がないから浴乾まで必要になるわけではありません。浴室を乾かすことだけが目的なら、一般的な換気扇でも対応できます。
マンションでは、浴室の換気扇が洗面室やトイレの換気もまとめて行っている場合があります。浴乾へ変えるときも、普通の換気扇を選ぶときも、1室換気なのか、2室・3室換気なのかは確認が必要です。
また、住まいの24時間換気を浴室の換気設備が担っていることもあります。暖房や乾燥を使わないからといって、換気設備そのものをなくす前提にはできません。
浴室の窓と換気の考え方は、浴室の窓は残す?なくす?でも詳しくお話ししています。
暖房|入浴前に浴室を暖める
暖房は、入浴前に温風を出し、冷えた浴室を暖める機能です。
戸建ての一階や窓のある浴室、冬の寒さを強く感じる家庭では使う場面があります。高齢の家族がいる場合も、暖かい部屋から寒い浴室へ移るときの温度差を小さくするための選択肢になります。
ただし、浴室暖房で暖まるのは浴室です。服を脱ぐ洗面脱衣室が寒いままなら、浴室へ入るまでの温度差は残ります。
床の一歩目が冷たいだけなら、冷たさを感じにくい床で十分なこともあります。浴室全体の空気を暖めたいのか、足裏の冷たさを減らしたいのかで、必要な仕様は変わります。
寒さを感じていない家庭が、「付いていると安心だから」という理由だけで選んでも、暖房を使わないままになるかもしれません。
衣類乾燥|浴室を物干し場所として使う
衣類乾燥は、浴室へ洗濯物を干し、温風と換気で乾かす機能です。
雨の日が続いても天気を待たずに洗濯でき、夜でも洗濯の時間をずらさずに済みます。花粉や黄砂、ほこりが気になり、外干しを避けたい家庭にも使いやすい方法です。
換気との違いは、温風を使って積極的に乾かすことです。その分、洗濯物は早く乾かせますが、換気だけで済ませるより光熱費はかかります。
乾燥機能のない洗濯機を使っている家庭だけでなく、乾燥機へ入れたくない衣類を干したい家庭にも合います。紫外線による色あせや、乾燥機の回転による傷みを避けたい衣類を分けて乾かせるからです。
一方、洗濯機の乾燥機能やガス衣類乾燥機で普段の洗濯が完結しているなら、浴室へ運び、ハンガーへ掛け直す手間が増えます。
浴室に干せる量にも限りがあります。洗濯物を詰めすぎると風が通りにくくなり、乾燥に時間がかかります。浴室が濡れたままなら、先に浴室内の水分も乾かさなければなりません。
洗濯物を干している間は入浴しにくいため、家族の入浴時間との重なりも見ておきたいところです。
涼風|風は出るが、冷房ではない
涼風は、浴室内へ風を送り、夏の蒸し暑さや入浴後のほてりをやわらげる機能です。
名前から冷たい風が出るように感じますが、エアコンのように浴室の温度を下げる冷房ではありません。基本は送風なので、暑さをどのくらいやわらげられるかは、浴室の温度や湿度によって変わります。
夏に長くシャワーを使う人には便利かもしれませんが、浴乾を付ける一番の理由になる家庭は多くないと思います。
浴乾が合いやすい家庭
浴乾を付ける意味が分かりやすいのは、衣類乾燥か暖房を日常的に使う家庭です。
たとえば、次のような暮らしなら使う機会があります。
- 洗濯機に乾燥機能がなく、浴室を室内干しの場所にしたい
- 外干しを避けたい、または外へ干せる場所がない
- 花粉や黄砂、ほこりが気になる
- 夜に洗濯することが多く、天候に左右されたくない
- 乾燥機へ入れにくい衣類を分けて干したい
- 浴室が冷えやすく、入浴前に暖めたい
- 高齢の家族がいて、冬の温度差が気になる
- 入浴後の浴室を、換気だけより早く乾かしたい
このうち一つに当てはまるだけで、必ず必要になるわけではありません。
雨の日だけ使うのか、週に何度も洗濯物を乾かすのか。冬の数日だけ暖房を使うのか、寒い時期は毎日使うのか。使用する回数まで想像すると、費用をかける意味が見えやすくなります。
浴乾がなくても困りにくい家庭
反対に、衣類乾燥と暖房のどちらも使う場面がなければ、浴乾はなくても困りにくい設備です。
- 洗濯機の乾燥機能や衣類乾燥機で洗濯が完結している
- 外干しや別の部屋での室内干しに不満がない
- 浴室が特別寒いと感じない
- 入浴後は普通の換気扇で十分に乾いている
- 初期費用だけでなく、暖房や乾燥の光熱費も抑えたい
- 今の浴乾も、実際には換気しか使っていない
「使ったことがないから要らない」だけでは、自分に合うかどうかまでは分かりません。
ただ、今の家に浴乾が付いていて、何年も換気以外を使っていないなら、それはかなり強い判断材料です。暮らし方が変わる予定もなければ、リフォーム後も同じ使い方になる可能性があります。
私の家も、洗濯と寒さのどちらにも困っていないため、浴乾を追加する理由がありません。窓のない浴室なので換気は必要ですが、普通の換気扇で足りています。
選ぶなら、電源と換気する部屋数も確認する
浴乾を採用する場合は、機能だけでなく設置条件も確認します。
電気式には100Vと200Vがあり、浴室の広さや必要な暖房・乾燥能力によって選ぶ機種が変わります。200Vでは専用の配線工事が必要になることがあり、分電盤や電気容量の確認も必要です。
温水式は、熱源機でつくった温水を使って暖めます。今の給湯・暖房設備や配管によって、採用できるかどうかが変わります。
マンションでは、浴室・洗面室・トイレを一台で換気する機種もあります。今付いている設備と同じように換気できるかを見ず、浴室の大きさだけで機種を決めることはできません。
また、浴乾にはフィルターの掃除が必要で、将来は本体の交換時期も来ます。付けるときの差額だけでなく、使っている間の光熱費と手入れ、交換まで含めて考えておきたいところです。
使う場面が浮かぶなら付ける
浴乾には、換気、暖房、衣類乾燥、涼風という便利な機能があります。
でも、洗濯物は洗濯機で乾かし、浴室の寒さにも困っていない家庭では、普通の換気扇で十分なこともあります。
一方、浴室を物干し場所として週に何度も使う家庭や、冬の入浴前に浴室を暖めたい家庭では、付けてよかったと感じやすい設備です。
洗濯物をどこで乾かすのか。冬の浴室を暖めたいのか。
この二つを今の暮らしに照らして考えると、自分たちに浴乾が必要かどうかは、かなり判断しやすくなります。
機能が多いから選ぶのではなく、使う場面が浮かぶなら付ける。それくらいの考え方でよいと思います。
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ユニットバスのプランには、カウンターや収納棚、鏡が当たり前のように入っていることがあります。
シャンプーを置く。洗面器を載せる。髭をそるときに顔を見る。使い道があれば便利ですが、使わなければ水あかやぬめりを掃除する場所が増えます。
すべて付けるのか、必要な物だけ残すのか。それとも、最初から付けないのか。
次は、浴室のカウンター・棚・鏡は必要?|掃除と使い方から考えるへ進みます。