リフォーム工事が終わっても、施工会社との付き合いは続きます。
水栓から水が漏れた。建具が動きにくくなった。取り付けた設備の品番が分からない。数年後には、給湯器やコンロの交換について相談したくなることもあるでしょう。
そんなとき、気まずさを感じずに連絡できる会社が一つあると、住まいの維持はずいぶん楽になります。
長く相談できる会社とは、何年経っても無料で直してくれる会社ではありません。工事の記録を残し、担当者が変わっても話を引き継ぎ、無料と有料の境目をきちんと説明してくれる会社です。
見積金額や提案内容は契約前にも比べられます。しかし、その会社が引き渡し後にどう対応するかは、工事を終えてみなければ分かりにくいものです。
本当に会社の差が見えてくるのは、むしろ引き渡しが終わったあとかもしれません。
工事が終わると、連絡しづらくなる
リフォームが終わって何年か経ってから、
「こんなことで電話してもいいのかな。」
と迷う方は少なくありません。
工事中は頻繁に連絡を取っていた担当者とも、引き渡し後は話す機会がなくなります。少し時間が空くだけで、以前より連絡しづらく感じるものです。
引き戸が少し重い。水栓の根元が濡れている。換気扇から聞き慣れない音がする。どれも今すぐ暮らせなくなるような問題ではありませんが、放っておいてよいのかは気になります。
こうした小さな相談にも、まず話を聞いてくれるのが長く相談できる会社です。
もちろん、すべてを自社で直せるとは限りません。設備メーカーによる修理が早いこともあれば、電気やガスなど、別の専門業者へ依頼したほうがよい場合もあります。
それでも、
「その症状なら、まずメーカーへ連絡してください。」
「一度こちらで状況を確認します。」
と、次にどう動けばよいかを示してもらえれば、相談した意味はあります。
アフターサービスの良し悪しは、何でも直してくれるかではなく、困ったときに話の行き先をつくってくれるかで見たほうがよいと思います。
良い担当者より、担当者が変わっても困らない会社
リフォーム会社を選ぶとき、担当者との相性はとても大切です。
話をきちんと聞いてくれる。質問しやすい。こちらの暮らしを理解したうえで提案してくれる。「この人なら任せられそう」と思えることは、会社を決める大きな理由になります。
工事前に自分と相性のよい会社を見分けるポイントは、003|リフォーム会社って何が違う?でも詳しくお話ししています。
ただ、住まいは工事が終わってから何年も使い続けます。その間に、担当者が異動したり、退職したりすることはあります。
ここで大切になるのが、個人の記憶だけに頼らず、会社として工事の情報を残しているかどうかです。
いつ、どのような工事をしたのか。どのメーカーの、どの品番の商品を取り付けたのか。工事中にどのような変更があったのか。
こうした記録が残っていれば、当時の担当者がいなくても、別の人が資料を確認しながら話を引き継げます。
反対に、担当者の手帳や記憶にしか情報がなければ、その人がいなくなった途端、話は最初からです。
「以前、そちらで工事をしたのですが。」
と電話をしたのに、誰も内容を把握しておらず、古い見積書や写真をこちらが一から探し直す。それでは、会社へ頼んだというより、担当者個人へ頼んでいたのと変わりません。
会社選びで本当に確認したいのは、担当者が何をしてくれるかだけではなく、その担当者がいなくなったあとに、会社が何をしてくれるかです。
これは、会社の規模とは別の話です。地域の小さな会社でも、記録を丁寧に残し、社内で共有しているところはあります。
見るべきなのは、誰が電話を受けても過去の工事をたどれる仕組みがあるかどうかです。
アフターサービスは、すべて無料という意味ではない
アフターサービスと聞くと、不具合があれば無料で直してもらえるものと思われることがあります。
しかし、施工が原因の不具合、設備機器の初期不良、経年劣化、誤った使い方による故障では、それぞれ対応が異なります。
たとえば水栓から水が漏れていても、取り付け方に問題があるのか、商品の不良なのか、内部部品が消耗したのかによって、施工会社、メーカー、修理業者のうち、誰が対応するのかが変わります。
リフォーム後に気になるところを見つけたときの連絡方法は、リフォーム後に不具合を見つけたら?でも詳しくまとめています。
保証期間内であっても、すべての修理が対象になるとは限りません。
だからこそ、信頼できる会社は、何でも「無料で直します」とは言いません。
まず状態を確認し、施工上の問題なのか、メーカー保証を使えるのか、有料修理になるのかを整理します。有料になる場合も、作業を始める前に費用の目安を説明してくれるでしょう。
一方で、保証の対象外だからといって、
「もううちには関係ありません。」
と切り離されても困ります。
自社で無料対応できなくても、修理を頼めるメーカーや業者を案内し、次に何をすればよいかを伝えることはできます。
長く相談できる会社とは、無料で何でもしてくれる会社ではなく、責任の範囲を曖昧にせず、その先まで案内してくれる会社です。
長く付き合える会社は、工事をしない選択肢も隠さない
大規模な修理や次のリフォームであれば、会社にとっても仕事になります。しかし、建具の調整や部品の交換は、すぐに大きな売上へつながるものではありません。
それでも話を聞き、必要な対応を考えてくれるかどうか。ここに、その会社が工事一回だけの関係を考えているのか、住まいを長く見ようとしているのかが表れます。
ただし、相談するとすぐ駆けつけてくれることだけが、良い対応とは限りません。
「その部品なら、ご自身でメーカーへ頼んだほうが早くて安いですよ。」
「今すぐ交換しなくても、調整でまだ使えそうです。」
と伝えることも、立派なアフターサービスです。
何を相談しても新しい工事を勧められるようでは、次第に電話しづらくなります。
修理で十分なのか。メーカーへ直接頼んだほうがよいのか。もう少し様子を見られるのか。それとも交換したほうがよいのか。
会社にとって都合のよい答えではなく、その家にとって無理のない答えを一緒に考えてくれる。そんな会社なら、次に何かあったときも相談しやすいと思います。
アフター対応にも、人と時間がかかる
正直に言うと、諸経費をまったく取っていない会社を見ると、私は少し色眼鏡で見てしまいます。
工事後の問い合わせを受け、当時の資料を探し、必要に応じて担当者や職人、メーカーを動かす。すぐに工事へつながらない相談でも、対応するには人と時間が必要です。
工事記録を保管し、社内で共有することにも費用がかかります。アフターサービスは、誰かが空いた時間に無償で行っているものではありません。
もちろん、見積書に「諸経費」という項目がないからといって、アフターサービスをしない会社だと決めつけることはできません。
各工事費や商品代へ含めている会社もありますし、固定費を抑えて運営している会社もあります。諸経費が高ければ、対応もよいとは限りません。
それでも、安く見せることが優先され、工事が終われば関係も終わるような見積もりになっていないかは、少し気になります。
安さの理由が企業努力なのか。それとも、記録や引き継ぎ、引き渡し後の対応まで削っているのか。見積書の数字だけでは、そこまで見分けられません。
諸経費の有無だけで判断せず、その費用にどのような仕事が含まれ、引き渡し後はどこまで対応してもらえるのかを聞いておくことが大切です。
見積書にある諸経費が何に使われているのかは、005|リフォームの見積書、どこを見ればいい?でも詳しく触れています。
契約前に、工事後のことも聞いておく
長く相談できる会社かどうかは、契約前にもある程度確認できます。
難しい質問をする必要はありません。
「引き渡し後に不具合があったら、誰へ連絡すればよいですか。」
「担当者が異動した場合も、工事の記録は残っていますか。」
「施工の保証と、設備メーカーの保証は別ですか。」
「保証期間が終わったあとの修理も相談できますか。」
このくらいを聞くだけでも、会社の考え方は見えてきます。
保証内容や工事範囲など、契約前に見ておきたい項目は、リフォーム契約前に確認したいことでもまとめています。
連絡先や保証内容を具体的に説明してくれるのか。それとも、「何かあれば連絡してください」とだけ答えるのか。
将来起きることを、契約前にすべて決めることはできません。それでも、誰が窓口になり、どのような流れで対応するのかが分かれば、工事後の安心感は違います。
確認したいのは、豪華な定期点検制度があるかどうかだけではありません。
定期点検を掲げていなくても、過去の資料を確認し、必要な対応につないでくれる会社はあります。反対に、立派なアフターサービスを宣伝していても、実際には窓口へなかなかつながらないこともあるでしょう。
制度の名前より、実際にどのように動くのか。契約前の質問に対する答え方にも、その会社の姿勢は表れます。
工事の終わりは、住み始めのスタート
住まいを長く使っていれば、設備の故障や建具の調整、次のメンテナンスについて相談したいときがやってきます。
そのたびに新しい会社を探し、自宅の状況を最初から説明するのは意外と大変です。以前の工事内容を知っている会社へ、まず一本電話をかけられる。それだけでも、住まいを維持する負担は少なくなります。
長く相談できる会社とは、いつまでも親しく付き合わなければならない会社ではありません。
困ったときに連絡がつき、過去の記録を確認し、できることとできないことを正直に説明してくれる。そして修理や交換を急がせず、その家に合った次の一手を示してくれる会社です。
リフォーム工事には、はっきりとした完成日があります。けれど、そこで暮らす時間は、その日から先も続いていきます。
だから会社を選ぶときは、工事が終わる日までではなく、その何年か先も少し想像してみる。
引き渡しは、施工会社との付き合いが終わる日ではなく、その会社が本当に頼れるかどうかを見ていく始まりなのだと思います。